文字サイズ
自治体の皆さまへ

特集 みんなで進めよう エリアリノベーション(2)

3/41

和歌山県紀の川市

●[粉河エリア]リノベーションを通じて粉河ににぎわいを
地域活性化起業人 永田大樹さん

粉河駅から粉河寺門前まで続く「粉河とんまか通り」。かつて、和歌山県内で第二の規模の商業地域と呼ばれるほど栄えていました。その粉河とんまか通りで割烹旅館として親しまれた旅館「三笠館」は、大正6年に創業し、地域の人々や観光客に長い間愛されていました。しかし、後継者不足などの理由で約15年前に閉業。以後、空き家となっていました。
そんな三笠館が令和6年4月、カフェやサウナ、宿泊施設を備えた複合施設、「MIKASAKAN」として新たにオープンしました。運営するのは、令和6年6月から和歌山県内初の地域再生推進法人として活動している、神奈川県鎌倉市に本社がある株式会社エンジョイワークス。令和5年4月から、永田大樹さんが「地域活性化起業人」として紀の川市に出向し、粉河エリアを活性化する取り組みの立ち上げ部分を担っています。
活性化の拠点を探す中、地域の人からの紹介で三笠館に出会った永田さん。三笠館を再生するにあたり、4棟ある建物のうち、老朽化が著しかった2棟を減築しました。解体前には感謝とお別れを告げるイベント「棟下式」を実施。解体前に寄せられた寄せ書きには、三笠館への温かな思いが多く届けられました。「みなさんに愛されている建物だと感じました。また、今後の取り組みに期待の言葉をいただき嬉しかったです」と永田さんは微笑みます。
「DIYやイベント参加など、みなさんの協力があって、MIKASAKANはオープンできました。みなさんに関わってもらうことで、粉河エリアのポテンシャルをさらに感じてもらい、新たなことに取り組みやすい環境を作りたいです」と意気込みます。
「空き家・空き店舗の利活用の動きが広がり、結果として、いろんなお店が粉河とんまか通りにできて、エリアリノベーションにつながるのが理想です」と話す永田さん。今後、MIKASAKANを拠点に粉河とんまか通りの空き家・空き店舗の再生を展開し、利活用したいと考えている人たちをサポートしていきます

▽地域おこし協力隊 三宅慧さん
大阪府大阪市出身
令和5年8月着任
着任前に家具作りの経験を積んだことを生かし、空き家解体時に発生する古材を活用した家具の製作や空き家に眠る家具を修繕したものを粉河とんまか通りの色々な店で展示・活用することを目指しています。

▽地域おこし協力隊 小川凜子さん
愛知県名古屋市出身
令和6年3月着任
アメリカでの留学経験を生かし、インバウンド観光客との交流を図りたいです。また、紀の川市は年中フルーツが収穫できるので、そのフルーツを使用したランチを提供できればと考えています。

●Interview ふるさとを愛する地域のみなさん
▽[粉河エリア]NPO法人紀州粉河まちづくり塾NPO 理事長 児玉征也さん
昭和40年から続く「中津川清掃活動」を継承し、三笠館の背後にある竹林の整備やその竹を活用した「未利用資源活用プロジェクト」の推進や環境シンポジウムの開催など、粉河のまちの活性化を目指して活動しています。
かつて三笠館がにぎわい、粉河とんまか通りが華やかだった頃を知る私たちにとって、扉が閉ざされた家々を見て寂しく暗い気持ちになっていました。そんな折に三笠館に明かりがともり、MIKASAKANとして再出発されたことで、私たちの心にも明かりがともされました。
MIKASAKANを利用し、運営する若い人たちの活気のある声は、防犯面でもありがたく、このまちに安心と元気をもたらしてくれます。単に場を提供するだけでなく人と人の関わりを紡いでくれるMIKASAKANが、空き家一つ一つに灯をともし、とんまか通りのにぎわいのシンボルとなって、点から線につながっていくことを期待しています。

▽[打田エリア]メリーズハウス常連客 大西倫江さん
メリーズハウスには約1年前から週に2~3回訪れています。カフェメニューはもちろん、土日限定のランチも美味しくておすすめです。ここは古い空き家をリノベーションした場所なので、昔ながらの建物の落ち着いた雰囲気の中に、新しさが調和しているところが魅力的です。
また、メリーズハウスは出会いが豊富な場所。これまで、さまざまな人と交流できる場所はあまり無かったように感じていたので、このような交流の場ができてとても嬉しいです。
しかし、かつてと比べると打田駅周辺の人通りは、かなり減少しているように感じます。人の行き交う姿が減って、どこか寂しい気持ちになっていました。地域を盛り上げるためには、メリーズハウスだけではなく、いくつかの拠点が必要だと思います。打田駅周辺に昔のにぎわいが戻ってくるように、私たち地域の住民が一体となって、メリーズハウスのみなさんと一緒に盛り上げていきたいです。

空き家や空き店舗を利活用し、まちの人同士や地域外から訪れた人がつながる動きが生まれているエリアリノベーション事業。普段住み慣れたまちでも地域外から来た人から見れば、自分達では気付くことがなかった新たな地域の魅力が見つかることがあります。地域活性化起業人や地域おこし協力隊は、地域外から来た人ならではの視点を生かして、既存の地域資源を新しい形で活用し、新たなまちの魅力を創出する担い手となっています。
今回、取材に協力してくれた人たちだけではなく、紀の川市内には「まちをさらに元気にしよう」という思いを胸に活動している人たちがたくさんいます。地域に対して思いを持つ人たちが関わり合うことで、その活動が積み重なり、大きな動きになるのではないでしょうか。
市民のみなさんの「何かしたい」「応援したい」という気持ちが、まちづくりにつながります。それが結果として、地域のにぎわいとなり、紀の川市全体の新たな価値の創造につながる一歩となります

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU