ツアーガイドが地域に住んでいる外国人と一緒に散歩しながら、市内の歴史やまちの魅力をやさしい日本語で伝えるまちさんぽの取り組みを紹介します。
◆「やさしい日本語」とは
平成7年1月の阪神・淡路大震災では、日本人だけでなく、日本にいた多くの外国人も被害を受けました。その中には、日本語も英語も十分に理解できず、必要な情報を受け取ることができない人もいました。そこで、そうした人たちが災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」です。
やさしい日本語とは、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮した分かりやすい日本語のことです。現在は、災害時のみではなく、また外国人だけではなく子どもや高齢者、障がい者にも伝わりやすい言葉としてやさしい日本語が使われるようになり、全国的にさまざまな分野での取り組みが広がっています。
約3500人の外国人が在住しているふじみ野市では、今回紹介するまちさんぽツアーのほか、やさしい日本語による生活ガイドブックの作成などを行っています。
◆やさしい日本語まちさんぽツアー
やさしい日本語まちさんぽツアーは、3年前に「ひろがるやさしい日本語の世界」と題する講演会を皮切りに、ツアーガイド養成講座を開催したところからスタートしました。ツアーガイドの皆さんは、やさしい日本語を使って在住外国人と一緒に散歩しながら、市内の史跡やまちの魅力を分かりやすく伝える役割を担っています。
現在は12人が登録し、毎月1回、にほんごカフェを開催して外国人と交流したり、年に2回、市内の見どころをやさしい日本語で外国人に紹介したりする活動をしています。
市には、江戸時代の宿場町として栄えた大井宿、新河岸川舟運で栄えた船問屋福田屋の建物を公開している福岡河岸記念館や、昭和12年に和洋折衷の庁舎として建てられた旧大井村役場など、多くの文化財や魅力的な場所があります。
「市内の見どころを外国人を含め、より多くの人に知ってもらいたい。多様な人の交流を進めたい。ツアーに参加した人からの情報発信により、市外からも観光客に来てもらいたい」。やさしい日本語まちさんぽツアーにはそのような思いが込められています。
◆やさしい日本語のポイント
▽「ハサミの法則」を使うと伝わりやすくなります!
「は」っきり言う
口をちゃんとあけて話しましょう。ゆっくりすぎると分かりにくいです。
「さ」いごまで言う
「それはちょっと…」のような中途半端な話し方は、相手が戸惑います。
「み」じかく言う
これが一番大事です。一文が長すぎると、内容が伝わりにくくなります。
▽こんなポイントもあります!
・簡単な言葉を使う(和語を使う)
避難→にげる
・漢字にはふりがなを振る
漢字は読み方で意味が変わる場合があるので、ふりがなを振りましょう。
参考文献:吉開章「入門・やさしい日本語外国人と日本語で話そう」アスク出版
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