『市役所の位置にあった兵器工場』
上福岡歴史民俗資料館の敷地内に、「陸軍用地」と刻んだ標柱があるのをご存じでしょうか。かつて「火工廠(かこうしょう)」と呼ばれた兵器工場の正門近くの境界にあったものと推測されており、陸軍施設の境界として使われていました。
火工廠とは兵器工場であり、昭和12(1937)年から昭和20(1945)年まで存在していた旧陸軍造兵廠(きゅうりくぐんぞうへいしょう)の通称です。昭和20年8月、太平洋戦争の終戦時点で敷地面積は約55万平方メートルあり、広大な跡地は、現在、上野台団地、上野台小学校、福岡中学校、市役所、イオンタウンふじみ野、大日本印刷(株)や日清紡マイクロデバイス(株)などとなっています。
火工廠では、火薬を使用しており、火災や爆発の恐れがあるため、建物や倉庫の周囲には、土塁(どるい)やコンクリート製の高い壁が築かれていました。その中で、火薬の製造、火薬を弾丸や信管(しんかん)・雷管(らいかん)などの点火具(起爆用の部品)に詰めたり、兵器の組み立てなどを行ったりしていたのです。
従業員は、太平洋戦争の終戦時点で約4700人いましたが、このうち約1400人は、近隣の国民学校高等科や旧制中学校に通う10代の動員学徒でした。このほかに女子挺身隊(じょしていしんたい)として多くの女性が働いていました。
上福岡歴史民俗資料館では、8月3日(土)~25日(日)に、当時の様子が分かる写真展「火工廠」を開催します。また、火工廠の模型と砲弾などは常設展示していますので、ぜひご覧ください。
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上福岡歴史民俗資料館
[ACCESS]
・長宮1・2・11
・上福岡駅東口から徒歩20分、ふじみん号Aコース「福岡小学校」下車徒歩1分
・開館時間は午前9時~午後4時30分(月曜日と年末年始を除く)
問合せ:上福岡歴史民俗資料館
(【電話】049・261・6065)
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