■全国でも珍しいうどんの日条例があるまち
6月25日「加須市うどんの日」を記念して、毎年、学校給食などで地粉うどんを提供しています。
言わずと知れた名産「加須のうどん」。その魅力や職人たちのこだわりを、お店の方やうどんの食レポで評判のYouTuber 武正倫(たけまさりん)さんにお聞きしました。
■どうして加須は「うどん」?
今から約300年前の江戸時代半ば、利根川の渡舟場や不動ヶ岡不動尊總願寺の門前で参拝客をもてなしたのが、加須のうどんの始まりといわれています。
収穫時期が限られる農作物などと違い、小麦を加工して長期間提供できるうどんは、商人の昼食や土産物として好まれ、農家の商売へと変化していきました。より安定した暮らしを求めて、農業以外で生計を立てようとした人たちが切磋琢磨するうちに、加須にうどん店が広まったのかもしれません。
現在、市内でうどんを提供しているお店の数は約60店。各店が製法や素材選びにさまざまな工夫を重ね、こだわりの一杯を提供しています。また、市内には複数の製麺所が存在し、生麺や乾麺など、さまざまなうどんを販売しています。
食文化として、商業として、加須のうどんは継承され、発展を重ね続けています。
■各店のこだわりを感じる、食べ比べも楽しんで
加須手打うどん会会長 岡戸知幸さん
○うどんのまちをみんなで盛り上げていきたい
加須手打うどん会は、「加須のうどん」をたくさんの方に知ってもらい、その魅力を高めていくため、平成2年に結成しました。スタンプラリー付きのうどんマップやのぼり旗の作成、職人による手打ちうどん教室の開催、市内外のイベントや物産展への参加など、さまざまな活動に取り組んでいます。
しかし最近では、後継者不足による加盟店の減少など、課題に直面していて、活動の見直しが必要だと感じています。例えば、現在でも、市内の小中学生にうどん作りの体験授業をさせていただくことがありますが、今後は、こどもだけでなく幅広い世代にうどんを身近に感じてもらえるような活動に挑戦していきたいです。
○名前ではなく、うどんを売っている
市内うどん店の職人たちを見ていて感じるのは、仕事に妥協しない精神です。お客さんがいつ食べに来ても、変わらないおいしさを提供し続けるために、麺の質の維持に細心の注意を払っています。季節によって、生地の塩分量や加水率を調整し、ゆで時間も、先にゆでた麺から落ちる打ち粉によって湯温が下がっていくので「何分ゆでる」というものではなく、色や感触から判断して調整しています。一度にたくさん作っておくのではなく、その日に売る分だけを作るのも、こうしたおいしさの質の維持のためです。
常連客が多いところ、出前が多いところ、お店によって違いはありますが、私のお店「手打ちうどん・そば 子亀」の場合は、市内や近隣の街からのお客さんが8割くらいです。他のお店もそうかと思いますが、地元のお客さんに支えられている実感があります。
市内のうどん職人は、皆さん一生懸命にうどんを打っていて、どこに行ってもおいしいです。いつも通っているお店がある人も「なじみのお店に悪いから」と気を遣わず、ときには違うお店に行ってみてほしいです。新しい「加須のうどん」との出会いが、きっとありますよ。
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