■本市の特色であるSTEM教育
本市では、科学技術を駆使して問題解決できる将来活躍する人材を育成するため、論理的思考力や創造性、問題解決能力の向上を図ることを目的として、埼玉大学と共同研究によりSTEM(ステム)教育に取り組んでいます。
STEM教育では、ロボットプログラミングキットなども使用し、ロボット作りやプログラミングなどの実際に動くモノづくりに重きを置く学習を通じて、子どもの知的好奇心を刺激し、自分で考え学ぶ力や、さまざまなことに挑戦しようとする自信を養います。
これからの社会で重要な役割を担うコンピューターなど先端科学技術分野の学習や、AIの台頭で重要視される想像力や実現力などの育成に本市は早くから取り組んできました。
埼玉大学と共同でSTEM教育を包括的に実践しているのは本市のみであり、令和元年度には「彩の国いち押しの取組事例発表会」で最優秀賞を受賞するなど、本市の特色ある取組みとして推進しています。
■「モノづくり」で広げる子どもの可能性
令和2年度には、ふじみ野小学校をSTEM教育研究校と位置づけ、埼玉大学の野村泰朗(たいろう)准教授の協力により研究・実践を進めてきました。
その研究結果として、情報活用能力、プログラミングの基礎的能力や課題解決能力の育成に一定の成果が見られたことから、令和4年度から水谷東小学校とつるせ台小学校で、今年度からは市内全小学校で実践しています。
STEM教育がもたらすものは、学力の向上にとどまりません。ふじみ野小学校では令和3年度の全国学力・学習状況調査において、国語と算数の正答率がSTEM教育導入前と比べ大幅に向上しただけでなく、児童が自信をもち、将来の夢に向かって挑戦しようとする自尊感情の高さが全国平均を上回る結果となりました。
モノづくりを通じ、試行錯誤しながら仲間と協力して課題を解決していくSTEM教育は、次世代を担う子どもたちの無限の可能性を引き出していきます。
◇令和元年度 STEM教育体験会の開催
確かな学力の定着を目指して、埼玉大学の野村准教授の指導のもとで体験会を開催しました。体験会では、工作とプログラミングの2グループに分かれて、モノづくりに挑戦しました。
◇令和2~4年度 研究校(モデル校)での授業
実践活動が行われたふじみ野小学校では、3年間の集大成として「50年後の富士見市」をテーマにロボットプログラミングキットを使用した未来の車づくりを行い、授業参観の場で完成した車を発表しました。
◇令和5年度 市内全小学校での授業開始
STEM教育を市内全小学校に拡充したほか、より意欲的に子どもたちに取り組んでもらえるよう腕試しの場として「小学生ロボコン富士見市大会」(本紙4・5ページ参照)を開催しました。
※STEMは、SCIENCE(サイエンス、科学)、TECHNOLOGY(テクノロジー、技術)、ENGINEERING(エンジニアリング、工学)、MATHEMATICS(マスマティクス、数学)の頭文字を表しています。
■小さな研究者の手であたらしい未来をつくる
◇各学校でも独自の取組みを進めています
つるせ台小学校では、9月に小学1・2年生とその保護者を対象にブロック玩具を使った親子STEM体験会を行いました。「赤ちゃんがいても安全な扇風機」をテーマにさまざまなアイデアを出し合い、近づいたら停止する扇風機を作製しました。設定したプログラムどおりに動作すると、子どもたちの嬉しそうに喜ぶようすが見られました。
■INTERVIEW「STEM教育を足掛かりにチャレンジ精神を養ってほしい」
・埼玉大学教育学部 心理・教育実践学講座 野村 泰朗(たいろう)准教授(STEM教育研究センター代表)
埼玉大学ではSTEM教育について教員研修などのスポット的支援は他自治体でも行っていますが、市をあげて全小学校が一丸となって共同で実践しているのは富士見市だけです。市主催による小学生ロボコンの予選会が開催されましたが、学校教育が主体となって取り組んでいるのも、小学校でSTEM教育の実践を行ってきた土壌がある富士見市ならでは。
STEM教育は目的ではなく、子どもたちの主体的な問題解決能力を育む手段の一つ。従来の教科学習を社会の課題解決に役立て、未来を変えていく力を育むため、先生方と授業の工夫を続けています。
小学生ロボコン富士見市大会は、ロボットの機能を高めるだけでなく見た目や面白さまでデザインし、きちんと動くロボットに仕上げてきた子がたくさんいて、富士見市の子どもたちの可能性が感じられる大会でした。
人のまねをするならAIの方がはるかに上回る時代で、自分の手でロボットを作る・動かすといったモノづくりを足掛かりに、新しいことにどんどん挑戦して、実行・実践することで自分の「できること」を見つけて自信をつけてほしいです。また、保護者の方にはぜひ子どもたちの挑戦を応援し、取り組む姿を見守っていただきたいです。
問合せ:学校教育課
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