9月の終わり頃、街のあちこちで笛や太鼓の音が聞こえてきます。待ちに待った秋祭りの鳴り物練習がはじまりました。子どもたちは先輩や大人から篠笛の吹き方やブチのさばき方を手習い、大人たちも毎夜寄合と呼ばれる集会を重ね、祭りの成功をめざし熱い議論を交わします。
現在、市内では全20台のやぐらが曳行されており、宵宮の早朝、自慢のやぐらが街を疾走する様子はまさに華麗で豪快、他に類を見ません。パレードなどの見せ場を経て、本宮の宮入りでクライマックスを迎えます。遠く総社に参る地区、元の宮に参る地区、お稚児さんを先頭にお神輿を伴う地区など、伝統的な習わしを大事に引き継いでいる地区もあります。
平成には多くの地区でやぐらが新調されましたが、古くは明治初期に制作されたやぐらも、改修を経て今も大切に守り伝えられています。三国志や戦国絵巻をテーマにした精緻な彫り物や絢爛豪華な刺繍が施された本幕など、やぐらそのものにも見ごたえがありますが、音頭や鳴り物に加え、「まわせ」や「まっせ」と呼ばれる特有の曳き方など独特なところが数多くあり、知れば知るほど泉南市の秋祭りは本当に奥が深く、興味がつきません。
やぐらの起源は詳しくは不明ですが、江戸時代後半には現在と同じような形態になったと考えられており、今も一部に160年前の彫り物を引き継いでいるやぐらもあると言われています。また昭和の初め頃までは、市内のほとんどの地区でやぐらを曳いていたようです。
元来秋祭りは、秋の豊作を祝うため氏神さまに参拝し、年に一度のハレの日を楽しむものでしたが、社会情勢や街の変化に伴い、少しずつ変化を遂げてきました。少子化の影響は担い手の減少となって現れつつあるらしく、将来的にはやぐら自体の存続にも話が及ぶかも知れません。移り変わる時代に柔軟に対応しながら、いつまでも守り伝えていただきたい、泉南市の貴重な地域資源です。
今年は、厳しいコロナ禍を経て8年ぶりに泉南市祭礼やぐらパレードが開催されました。今年の当番である濱中講が中心となって各地区との調整を半年間かけて行い、10月6日の開催にこぎつけました。市内のやぐらのうち10台が集結し、お披露目曳行が行われ、たくさん集まった観客を魅了しました。
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