■子どもの人権について
現在の日本には、いじめ、児童虐待、ヤングケアラーなど多くの社会問題が山積しています。これらの解決には医療や福祉、教育などさまざまな分野から多角的な支援が必要となります。令和5年4月に「こどもまんなか社会」を目指すために「こども家庭庁」が発足しました。子どもに関する社会問題に対し包括的に取り組み、必要に応じて他の省庁と連携することにより、子どもを取り巻く環境が改善されることが期待されています。また、同年4月に「こども基本法」が施行されました。この法律は、次世代の社会を担う子どもたちが生涯にわたって人格形成の基礎を築き、健やかに成長し、権利が守られ、幸福な生活ができる社会の実現をめざすことを目的としています。
貝塚市においても大規模な機構改革を行い、今年度から「子ども相談課」を設置しました。育児に関する相談や発達相談、虐待に関する相談など、子どもに関する相談業務を一括して担当することにより、子どもを持つ親が安心して子育てできる環境づくりをめざしています。
近年、全国で児童虐待の相談や不登校、自殺、ネットいじめなどの件数が過去最高水準となるなど、子どもの人権を侵害するような出来事が多く発生し、子どもを取り巻く環境はますます深刻になっています。児童虐待も増え続けており、大阪では令和4年度に過去最多を記録しました。殴る・蹴るなどの「身体的虐待」ばかりではなく、罵声を浴びせる、無視するなどの「心理的虐待」や、性的行為を強要するなどの「性的虐待」、食事や風呂、着替えなどの世話をしない、必要な医療を受けさせない、家や車の中に放置して外出するなどの行為(ネグレクト)も全て虐待です。子どもが正しくないことをしたら、親や保護者が愛情をもって叱ることはしつけであり必要なことです。しかし大人が怒りの感情に任せて子どもを殴ったり、大声で怒鳴ったりすることは「しつけ」ではなく「虐待」です。子どもが虐待で苦しむことがないよう、親への啓発や周囲の見守り、そして重大な事故が起こる前に対応することが重要です。
人権とは、全ての人が生まれながらにして持つものです。それは大人であろうと子どもであろうと変わりません。子どもは社会の宝であり、大切にされるべきものです。しかしその一方で、子どもであることを理由に子どものことを大人が勝手に決めてしまうことがあります。子どもも自分のことを自分で決める「権利」を持つ主体なのです。子どものための法律や制度の整備と同時に、私たち一人ひとりが、全ての子どもを自分の子のように温かく見守り、子どもの意思を尊重しつつ、正しい方向へ導く手助けをすることが必要ではないでしょうか。
◯ハート交流館で大切にしていること
青少年人権教育交流館(ハート交流館)では、たくさんの子どもたちが、放課後、ボードゲームやけん玉、コマで遊んだり、グラウンドでサッカーをしたり、体育室でバスケットボールをしたりと元気いっぱい過ごしています。
うれしいことや、悲しいこと、さまざまな経験を重ねながら一日一日を精一杯生きている子どもたちの様子に、熱いエネルギーを感じます。
一方、今までの人との関わりの中で、本来持っている力を削がれ、自信をなくし引っ込み思案になっている子どもや、関わりを求め「もっとわたしを見て!」という気持ちを、人や物にあたることで表現する子どももいます。
どの子にとっても大切にされ、ありのままの自分を出せる場、安心の場でありたいと願い、ハート交流館では、日々の事業や活動を行っています。
当館の低学年育成事業(Eメイツ)では、子どもが自分自身を構成しているありとあらゆる要素「もちあじ」に気づき「もちあじ」をまるごと認め、その上で、互いを認め合い、大切にできる仲間として成長していけるように、もめごとが起こった時には、子どもどうしが気持ちを語り、自分たちで解決できるように支援しています。
また、子どもにとって大人は、意図しなくても大きな力をもつ存在であることから「子どもは一人の尊重されるべき人格を持った人間である」ということを常に意識し、子どもに寄り添い、ハート交流館職員の言動がジェンダーの刷り込みにならないように気をつけています。
保護者のかたの心のゆとりが大切であるため、子育ての悩みの軽減につながるよう講座を実施しています。
子どもや、保護者のかたがSOSを発信されていないか常にアンテナを張るとともに、子どもや保護者のかたから気軽に相談をもちかけてもらえるようなハート交流館でありたいと考えています。
問合せ先:ハート交流館
【電話】072-432-5959
問合せ先:人権政策課
【電話】072-433-7160
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