第8回:頭痛について
〜(1)怖い頭痛編〜
段々と秋が深まってきておりますが、いかがお過ごしでしょうか。寒くなると体調を崩す方も増えてきますので、しっかりと暖を取るようにしてくださいね。
さて、今回は危険な頭痛についてご説明させていただこうと思います。普段から何気なく頭痛を感じる方だけでなく、今まで頭痛を感じたことが無い方にとっても、「このようなタイプの頭痛は良くない」と知っておいてもらうことが重要だったりもします。そこで今回は、
(1)危険な頭痛
(2)熱と頭痛があるとき
(3)頭以外が原因の頭痛
(4)稀な頭痛
の4本立てでお送りしたいと思います。
(1)危険な頭痛
危険な頭痛と聞いて、一番初めに思いつくのはおそらく脳出血やクモ膜下出血といった出血による病気でしょう。知らないうちに脳の中にできた小さな動脈瘤が破れたり、動脈硬化と高血圧によって血管が破れて出血するのが原因で、「人生で一番痛い痛み」「脳梗塞と同じように手足や顔の動かしにくさがある」場合にはすぐに救急車を呼びましょう。また、その様な家族が周りにいれば、なるべく寝かせて安静にし、過度な刺激を与えず、光の刺激も辛いので目をタオルなどで覆うと良いでしょう。
頭を打った後も要注意です。硬膜外血腫、硬膜下血腫と呼ばれる状態になる可能性があります。血腫が脳を圧迫するため、頭痛に加えて意識が朦朧としたり、手足や顔が動かしにくくなったりします。症状がある場合にはすぐに手術で血腫を取り除く必要があり、「頭を打ってから調子がおかしい」「頭を打ったかどうかわからないが、調子がおかしい、頭に傷がある」といった場合には無理せず救急車を呼んで病院に行きましょう。
(2)熱と頭痛があるとき
熱があって頭が痛いとき、大抵はただの風邪や、副鼻腔炎を起こして抗菌薬が必要になる程度が多いですが、まれに髄膜炎や脳炎と呼ばれる脳や脳を保護する膜の炎症を起こしている時があります。「風邪だと思って数日様子を見ていたけども良くならない」「どんどん悪くなって意識が朦朧としている」といった場合にはすぐに病院を受診しましょう。
(3)頭以外が原因の頭痛
頭が痛い上、顔に赤みがあったり、ブツブツができたり、顔半分が動かしにくいといった症状があるときは、帯状疱疹にも注意が必要です。かつて罹った水痘(みずぼうそう)のウイルスが、体で冬眠していたところに、ストレスや加齢に伴って再度冬眠から冷めて悪さをするために起こります。特に顔に生じた帯状疱疹は顔の神経を麻痺させてしまい、食べづらさや動かし難さ、強い神経痛などの後遺症が残って生活が辛くなってしまう危険があります。気になる場合にはすぐに病院(可能ならば皮膚科)を受診しましょう。
また、目が原因で起こる頭痛もあります。急性緑内障発作というもので、目の中の水が上手く排水されなくなり、眼圧が急激に上がることが原因です。通常は片目に起こるので片側前面の頭痛であり、片目が充血したり、瞳孔が左右で違ったり、目が見えにくいといった特徴が現れます。最悪の場合失明するため、すぐに病院や近くの眼科を受診しましょう。また、遠視や緑内障、白内障があったり、冷え性、低体温な方は発作が起こりやすいリスクがあると言われており、40歳を過ぎたら定期的に眼科で眼圧が高くなっていないかチェックを受けたほうが良いでしょう。
(4)稀な頭痛
最後に、稀ではありますが脳腫瘍でも頭痛は起こることがあります。「朝起きたときに頭痛がある」のが特徴です。頭痛の他に手足が動かしにくい、痙攣・てんかんを起こす場合には注意が必要です。頭痛を起こす程の脳腫瘍があれば画像に現れるので、頭痛の原因がはっきりしない場合には一度画像検査を検討してみましょう。
ただ頭痛があるからといって、何度も撮る必要はありません。頭痛は4人に1人は持っている症状で、大半は命に関わることはありません。しかし頭痛に加えて別の症状がある場合や、頭痛が人生で最もひどい場合には、無理せず必ず医療機関を受診するようにしましょう。
下北山村診療所 田口 浩之
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