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歴史民俗ふるさと探訪(59)

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宮城県丸森町

■ムラの一人前を試し大人の仲間入りを確認する力石・力試し石
町内各地には、「力石」や「力試し石」と呼ばれている石があり、丸森地区の深田、川田島、筆甫地区の中下(2個組)、大内地区の奈良又、岩城西、田林、舘矢間地区の小原瀬、大張深堀、耕野地区の白五郎などにある石がよく知られています。また、今は所在は不明ですが、丸森地区の石羽にも三角形で重さ17貫(約64キロ)の「力試しの石」と称する石がありました。ほかにも、丸森地区の薄平の馬頭観音碑、大内地区の山屋敷の供養碑、小斎地区の遊仙寺のお地蔵様も同様に呼ばれ、若者たちは石を持ち上げることで一人前の大人といわれてきました。
現在では、満18歳になると自動的に一人前と認められ、権利と義務が与えられ、大人の仲間入りができます。でも昔は、周囲の人が認める一人前の基準があったのです。この石を担げるか、背負えるか、抱いて何歩移動できるかなど、集落ごとに石の重さや試す方法などは違いますが、どの集落にもそのような風習があったといっても過言ではありません。その場所は、寺社や集落の広場、辻などに多くあるといわれていますが、町内では個人の庭先に置かれているものも少なくありません。
昭和30年代半ばから農作業に機械を使用するようになりましたが、それ以前はすべて人の力か、牛や馬に頼るほかありませんでした。家族で対応できないものは、親戚や集落内の「結(ゆい)」と呼ばれる労力交換が中心でした。共同作業の均衡を保つためにも、各人の仕事量に重きが置かれたのです。田植え、稲刈り、田(畑)起こし等、一人前の基準となる仕事量も集落ごとに決まっていました。このほか、約60キロの米俵を担げるか、またムラの人と受け応え(挨拶)ができるかを基準としていた集落もありました。
ふらっと散策するのに良い季節になりました。この機会に力石、力試し石の「ふるさと探訪」はいかがでしょうか。

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