西日本最大の縄文集落・本野原(もとのばる)遺跡
南九州(宮崎・鹿児島)唯一の天守がある佐土原城跡
日本の歴史をひも解くにあたり重要な遺跡がここ宮崎から発掘されています。なかでも本野原遺跡と佐土原城跡は国史跡に指定されて今年で20年になります。このふたつの遺跡の魅力を紹介します。
Q.これは鹿?それとも犬?どちらに見えますか?
1960年に地元の小学生が動物の頭の形をした約2センチメートルの土製品を見つけました。この土製品が本野原遺跡発見のきっかけとなり、その後数回の発掘調査が行われました。そして2004年9月30日に、遺跡の大半が国史跡に指定されました。この土製品が何の動物かは解明されていませんが、鹿や犬という説があります。皆さんは何に見えますか?
◆本野原遺跡は西日本初の「広場のある集落」
本野原遺跡は田野町南部にあり、標高約180メートルの台地に立地する、縄文時代後期(今から約3000〜4000年前)を中心とする西日本最大級の遺跡です。大きな特徴は、集落の中心を大規模に掘り窪くぼめ、広場を作っているところです。このような広場を持つ縄文集落は東日本で多く確認されていましたが、西日本では初めて発見されました。現在、公園化に向けて整備工事を行っています。
▽本野原遺跡の特徴
・広場の最大直径は約100メートル
・遺跡の広場はなだらかなすり鉢状に整地
・発見数は西日本で確認されたなかで最も多い113軒
・広場の中央付近には大きな石を置き、外側に掘立柱建物などを配置
ここで集会やお祭などの儀式をしていたと考えられています。
▽本野原遺跡から分かる縄文時代の暮らし
マンガで分かる!本野原遺跡について詳しくは本紙QRコード
『住まい』
・竪(たて)穴住居
地面を掘って平らな床を作り、丸太で柱や梁(はり)を組み、その上から植物で屋根を葺(ふ)いたもの。平安時代まで庶民の家として使用されました。
『食べもの』
・大豆や小豆を栽培
狩猟はあまりしていなかったようです。本野原遺跡から発見された土器の表面には、大豆と小豆の痕が50点余り検出されており、栽培していたようです。これは九州地域で最も古い例です。
・ドングリも食べていた
ドングリはデンプンを豊富に含んでいて、縄文人にとっては大切な食料でした。本野原遺跡の発掘調査では、約3000個のドングリの実が出土しました。
『衣服』
・カラムシの衣服
カラムシという麻の一種が主流。カラムシの皮を割き、乾燥させて糸を作り、それから布を編み衣服の材料にしていました。
『生きもの』
・コクゾウムシ
遺跡から発見された土器の表面に昆虫のコクゾウムシの痕が173点発見されました。また、ゴキブリの卵の痕も見つかっており、縄文時代からすでにゴキブリが生存していたことが分かりました。
◆こちらも注目!佐土原城跡
佐土原城は室町期に築かれ明治3年まで続いた歴史あるお城です。山頂の本丸には南九州で唯一の天守台が残っていて、近年の発掘調査によりその実像が明らかになりつつあります。歴代の城主には宮崎の歴史上最大の勢力「伊東四十八城」を築いた伊東義祐(よしすけ)や、豊臣秀吉が恐れた戦上手とも言われる島津家久、関ヶ原の戦いで討死(うちじ)にした島津豊久などがおり、戦国時代の日向国の中心的な存在でした。
※台風の影響により、大規模な崩落や倒木が発生し、立ち入り禁止としていましたが、復旧工事により一部通行できるようになりました。
▽続日本100名城 記念スタンプ
下記で押印できます
・佐土原歴史資料館「鶴松館(かくしょうかん)」
住所:佐土原町上田島8227-1
開館時間:9時から午後4時30分まで
開館日:土曜・日曜・祝日のみ
※12月29日から1月3日は休館
・城の駅「佐土原いろは館」
住所:佐土原町上田島1387-1
開館時間:9時から午後6時まで
※1月1日から3日は休館
◆イベント情報!国指定20周年記念 本野原遺跡シンポジウム2024 あつまれ!縄文の広場に
日時:9月28日(土)午後1時15分から午後4時まで(受付開始 午後0時45分から)
場所:田野文化会館(田野地区交流センター)
記念講演:今よみがえる縄文の食〜古代スイーツ研究家が紐解く本野原遺跡〜
講師:まえかわ かよ氏(文学博士)
奈良女子大学大和・紀伊半島学研究所協力研究員、古代スイーツ研究家。専門は日本考古学、日本中世史、日本食文化史。
来場者先着300名様に国指定20周年記念クリアファイルをプレゼント!
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問い合わせ先:文化財課
【電話】85-1178【FAX】84-2222
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