豊かな自然環境と生態系を守るために
◆個体識別管理とは…
「個体識別管理」とは、動物の飼育や管理に役立てるため、1頭ごとに個別の情報を記録し保持・管理すること。個別情報の内容は、繁殖の日時、血縁、健康に関する情報など。鳥では1羽ごとを見分けるために足環が多く用いられます。
◆山中湖のコブハクチョウ
山中湖のシンボルとして、住民や観光客に親しまれているコブハクチョウ。毎年春になるとヒナが誕生し、愛らしい姿で私たちを癒してくれます。このコブハクチョウは、1968年(昭和43年)、山口県宇部市常盤公園から導入した4羽2つがいの子孫です。村でも保護育成を行い、現在は50羽ほどが定住しています。
◆コブハクチョウが増えている?
これまで確認のなかった精進湖や河口湖、丹沢湖で繁殖を始め、一部は定着の兆候が見られます。山中湖と河口湖、静岡県清水港を行き来していることも分かってきました。
これらの出来事から、山中湖で増えすぎたコブハクチョウが周辺地域に溢れ出しているのではないかとの指摘が出ています。また、千葉県では野生化したコブハクチョウが150羽を超え、そこから山中湖や河口湖に移動してきている可能性もあります。
◆コブハクチョウが増えすぎると心配されること
千葉県では、増えすぎたコブハクチョウが田んぼに入り、稲を食べてしまう問題が起きています。小さなヒナが1年で体重10kgに成長するほど食欲も旺盛です。地上の植物だけでなく、水草も大量に食べるため、水生生物の減少や水質悪化につながることも考えられます。
最近では、高病原性鳥インフルエンザの発生が毎年のように報告されており、個体数の増加に伴い人との接触機会が増えると、感染症媒介のリスクも高まります。
仮に山中湖の個体が他所へ分散しているとすれば、こうした問題を広めてしまうことにもなります。
◆個体識別管理の必要性とメリット
放鳥から約60年、これまでコブハクチョウについて包括的な保護育成を進めてきましたが、これからは個体を識別し、1羽1羽をしっかり管理することが必要と考えます。
これにより、正確な羽数や増減を把握し、周辺への飛散、飛来などの移動が分かるようになります。さらには、1羽ごとに健康管理ができ、怪我や衰弱した個体がいた場合の特定が容易になります。親子や兄弟姉妹の関係性や、性格の違いなどがわかるので、コブハクチョウへの理解や親しみがより深まるものと思います。
問い合わせ:観光課 観光推進係
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