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(特集)地域と支え合う。「長高」のいま(2)

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愛媛県大洲市

■地域が支える生徒の日常
5月1日現在、親元を離れて下宿生として長浜高校へ通う生徒は合計で59人にも上ります。急激に下宿生が増加したことにより、まず課題となったのは「食」と「住」。長浜高校が直面した問題の解決には地域や企業、そして保護者それぞれの思いが力になりました。

◇「ただいま」「おかえり」の関係
下宿生の食事のサポートは現在、長浜地域の飲食店「かねや」さんと「たかざわ」さんの2店舗と保護者による活動によって支えられています。
この日も午後7時を過ぎるとかねやにお腹を空かした生徒たちが「ただいま」の声とともに続々とやってきます。それに「おかえり!」と大きな声で応える志賀和美(かずみ)さんは、現在の3年生を1年生の頃からサポート。住居部分である1階の部屋を開放し、生徒たちがくつろぎながら食事ができるようにしました。
食事の提供を始めた当初、生徒に向けてアンケートを実施。「朝や昼は軽食で済ます生徒が多いことがわかり、夕食でしっかり栄養をとってもらわなければと責任を感じた」と振り返ります。成長期でもある高校3年間。「毎日お腹いっぱい食べて、元気に巣立ってほしい」それが志賀さん夫妻2人の願いです。

・「長高食堂」の夕食準備は自分の家事などの合間を縫って。時間との勝負になるが、にこやかに手際よくこなしていく。
・「かねや」を経営している志賀友治(ゆうじ)さん、和美さん夫妻。和美さんは管理栄養士の資格も持っている
・宇都宮旭(あさひ)さんは1年生からかねやの味に親しむ3年生。大好物は地元で獲れた魚の刺身だそう

◇「長高食堂」の誕生
「『孤食』だけは絶対にさせたくなかったんですよ」長浜高校PTA会長である鈴木眞由美(まゆみ)さんは、夕食の準備の手を休めずに話します。
今年の新入生で下宿を選択したのは過去最大の27人。長浜地域の飲食店だけでは、下宿生全員の食事を賄いきれない数となってしまいました。先の飲食店での食事と業者からの弁当を1年生から3年生でローテーションさせる案もありましたが「それだと一人ぼっちでお弁当を食べる子供が出てしまう」と危惧した鈴木さんは、地域内の空き家を利用して食事を提供しようとPTAを中心にボランティアを募ります。なんとか4月からの提供に間に合わせ、毎日のメニューに頭を悩ませながら奮闘する日々。それでも親元を離れて暮らす子供たちのため、今日も温かいご飯と笑顔で迎えます。

・「長高食堂」今日の出勤は久保沙織(さおり)さん、鈴木さん、乗松さおりさんの3人
・洗い物は生徒の役目。入学したての1年生も慣れたものでテキパキと片付ける
・この日のメニューは中華。チャーハンだけで2升6合のボリューム。丼物なら3升炊くことも珍しくないという

◇企業の決断と地域の応援
長浜高校は、元々は地元の生徒がほとんどを占める学校だったこともあり、寮などの設備がありません。
「長浜高校に進学したいが住むところが…」という悩みの解決に地元の企業が動きます。窮状を知った伊予銀行は、長浜支店の社員寮6室のうち3室を生徒用の部屋にと貸し出すことを決断。その後も増加する下宿生のために、空き家の情報収集や仲介役として長浜高校を応援し続けています。「生徒が増えること、空き家を活用することは当行の企業理念である『潤いと活力ある地域の明日を創(つく)る』にも通じる。地域全体が生徒たちを見守る『地域寮』として先進的なモデルケースになっていくかも」と神野斎(じんのいつき)長浜支店長は今後を見据えます。
また、長年にわたって長浜高校をサポートしている「長浜高校を応援する会」の会長である濱田毅(たけし)さんは「住居や食事の確保に加え、安全性の面など下宿生が増えればクリアしなければならない課題も増える。連携しながら生徒たちの生活を支えたい」と活気づいている高校の現状を喜びながらも気を緩めません。
学校と保護者、そして地域が一体となった取り組みが、いま大きな実を結んだのです。

・神野支店長は自ら空き家物件の状態の調査などに奔走
・濱田さんは「応援する会」だけでなく長浜高校のスクールライフアドバイザーとしても生徒を見守る

※詳しくは、本紙をご参照ください

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