■市民病院の不妊治療がアップグレードしました
生殖医療センター 胚培養士:清水雅司
▽生殖医療センターとは
当院には、不妊症で悩む市民の方が、近隣で専門的な不妊治療を受けることができるよう生殖医療センターがあります。
一般不妊治療であるタイミング療法や人工授精に加えて、高度生殖補助医療といわれる体外受精治療においても世界トップレベルの機器を備えています。
▽「僕・私に限って」と思っていませんか?
日本では、5組に1組のカップルが「子どもができないこと」に悩んでいます。2022年の日本産科婦人科学会の統計では、産まれる赤ちゃんの約10人に1人が体外受精治療で産まれているとされ、小学校の1クラスに3~4人は体外受精によって産まれた子どもがいる時代になりました。
タイミング療法や人工授精を含めれば、不妊症で悩むカップルはもっと多く存在すると予想されます。今や不妊症で悩むことは特殊なことではなく、お互いが悪いわけではなく、どのカップルにも起こりうる「ふつう」なことです。花粉症で耳鼻科を受診するように、お気軽に生殖医療センターを受診してください。
▽体外受精治療のアップグレード
2013年に導入したタイムラプスインキュベーターが、2024年8月、新型にリニューアルされました。
タイムラプスインキュベーターとは、受精卵を培養しながら受精卵の精細画像を連続撮影することができる機器です。
インキュベーターとしての精度が向上しているだけでなく、撮影間隔が従来の20分1回から10分1回と短くなり、受精卵の成長する様子をより詳細に観察することができるようになりました。撮影したタイムラプス画像から人工知能(AI)による受精卵のスコアリング(順位付け)も可能になりました。
▽赤ちゃんになれない受精卵
すべての受精卵が赤ちゃんになる訳ではありません。受精卵が10個あったら、順調に成長する受精卵は平均5個、赤ちゃんになる受精卵は平均1~2個です。
どうやって赤ちゃんになるチカラのある受精卵を見極めるのか?が体外受精治療では重要になります。
▽赤ちゃんになる受精卵を見つけるAI解析
受精卵のタイムラプス画像から、赤ちゃんになりやすい受精卵をスコアリングするiDAScore(Ver2.0)という人工知能(AI)を利用した診断ツールも同時に導入されました。これまでも医師や胚培養士が受精卵を評価してきましたが、AI解析による客観的なスコアリングを組み合わせることで、従来よりも高い精度で赤ちゃんになる受精卵を見極めることができるようになります。
[生殖医療センターの受診案内]
診察・処置フロア:5階(V)
診察時間:8時30分~15時30分
休診日:土・日、祝日、年末年始
※初診で紹介状をお持ちでない場合は、11時30分までに来院してください。
生殖医療センターホームページ(本紙13ページの二次元コードをご参照ください。)
問合先:市民病院
【電話】76-4131
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