■家主から家賃の値上げ通知が届いた。どうしたらいいでしょうか
土地や建物に対する税金(固定資産税や都市計画税)などの増減、地価の変動、近隣の家賃相場との乖離など正当な理由がある場合は、家主も借主も、家賃の増減を請求できます(借地借家法第32条第1項)。当事者から増減要求があったとき、応じる必要があるかを解説します。
◇相談事例
5年前から住んでいる賃貸マンションの家主から、6か月後に家賃を値上げするという通知が届いた。通知文には値上げの理由の説明もなく、問い合わせても明確な回答は得られず、納得できない。どうしたらよいか。
◇消費者へのアドバイス
家賃の増減は、契約の中でも重要な条件の変更ですから、当事者同士の合意が必要です。納得できなければ拒否することもできますし、値上げ幅を交渉することもできます。
一方、「正当な理由」による増額も考えられますので、家主との良好な関係のもとで住み続けるためにも、変更の理由や根拠を聴き取り、納得のうえで合意することが重要です。もし、この事例で話し合いによる合意に至らない場合、家主は、簡易裁判所に調停を申し立て、調停が不成立となれば、訴訟によって決定することが想定されます。
◇調停等を行う場合の注意点
・調停中、借主は従来どおりの家賃を支払うが、家主が受け取りを拒否する場合は、書面などで受け取りの催告を行う。それでも拒否されたら法務局に供託(家賃を預かってもらう)手続きを行う
・訴訟の費用は、訴訟を起こした原告が負担し、賃料の増減額が認められれば、被告も一部負担する
・裁判所で新家賃が確定し、増額された場合、借主は差額の賃料と差額に対して1割の利息を支払う
わからないことがあれば、消費生活センターにご相談ください。
問合せ:消費生活センター
【電話】03-5211-4314
<この記事についてアンケートにご協力ください。>