江戸川区は令和5年9月に「みんなのえどがわ健康いきいきプラン(江戸川区健康増進計画2023-2030)」を策定しました。
このページでは、計画の策定にご協力をいただいた佐藤大介客員教授(千葉大学医学部附属病院)の監修のもと、広報えどがわに令和5年4月から掲載している健康コラムの詳細版を掲載しています。『誰もが健康を心がけ、いきいきと暮らしているまち』を実現し、健康寿命を延ばすためには、区民の皆様一人ひとりの取り組みが大切です。
■第9回 睡眠と健康
私たちが毎日行っている睡眠は体内時計によって制御されています。特にメラトニンという脳の松果体から分泌されるホルモンは、明るいと分泌量が減り、暗くなると分泌量が増え、眠気を引き起こします。また我々は朝起きてから徐々に眠気が強まり、眠るとその眠気は改善します。
では、理想の睡眠時間は何時間位なのでしょうか。一般成人における睡眠時間と生活習慣病との関係が報告されています。糖尿病や高血圧、高脂血症、高コレステロール血症のいずれもが、概ね6時間から8時間の睡眠を取っている人でリスクが最も低くなっています。誰でも睡眠不足が気分や活動に影響を与えるのは経験からわかっていると思いますが、睡眠時間が長すぎるのも健康にはよくないようです。
成人では寝付いてから深い眠りに入り、90分から2時間程度で浅くなり、夢をみることが多いレム睡眠となりますが、これを2、3回繰り返し、その後浅い睡眠となってきます。しかし高齢者の睡眠の特徴は、深い睡眠が少なくなり、レム睡眠が少なくなり、中途覚醒が増えるというものです。これは運動量が減り、体の代謝量も減るために睡眠は浅くなり、また整理する情報量も少なくなるためと考えられていて、全般的には睡眠の質が低下するといわれています。
勉強や仕事などでどうしても睡眠不足となることがあります。そのようなときには10分から30分程度の仮眠(ナップ)を取ることをお勧めします。15時までに終了すれば夜の睡眠への影響は少ないようです。
またストレスやうつ病、うつ状態など気分の障害でも不眠や過眠などの睡眠障害が生じます。睡眠はこのように精神状態とも関係が深く、精神的な疲労は自殺にも関係します。睡眠障害は精神的健康が乱れてきていることのサインであり、睡眠障害に悩む、または睡眠障害を来していると考えたら医療機関に相談しましょう。
規則正しい睡眠習慣を身に付けて、心と体の健康を守りましょう。
千葉大学医学部附属病院
伊豫雅臣教授(精神神経科)
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