■自然部会調査速報(12)~早春に咲く花たち~
今回紹介するのは、主に八溝山地で見られる早春の花です。市内では、花瓶山(はなかめやま)、途中山(とちゅうやま)、萬蔵山(まんぞうさん)、官公山(かんこうやま)、龍蓋山(りゅうがいさん)などの林内で見ることができます。寒さが弱まり春の気配が感じられる頃に咲き出すのは、イワウチワです。イワウメ科の常緑多年草で、和名は岩場に咲き葉の形が団扇に似ているところから付けられたようですが、必ずしも岩場に生育するとは限りません。林内や林縁の薄暗いところに群生することが多いようです。花は、淡い紅色の直径3cmくらいの漏斗(ろうと)状で、花柄の先に横向きに1個付けます。花冠は先が5つに裂け、その縁がさらに細かく裂けます。同じ頃に咲き始めるのは、ショウジョウバカマです。ユリ科の多年草で、和名は花を猩々(しょうじょう)(想像上の動物)の顔に、下部の根生葉(こんせいよう)をはかまに見立てて付けられたようです。山地のやや湿った林内などで見られます。根生葉の間から花茎を立ち上げ、高さ10~20cmのところで淡紅色から濃紅色の花を咲かせます。やはり同じ頃に咲くのは、シュンランです。ラン科の多年草で、和名は春に咲くランの仲間という意味で名付けられたようです。山野のやや乾燥した落葉樹林に見られます。根生葉の間から花茎を出し、先端に紅紫色の斑点のある淡黄緑色の花を通常は1個付けます。
(自然部会 中川幸夫)
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