■弥生時代後期前半の建物を発見~中沢遺跡~
中沢遺跡は治田西小学校の西側にあり、弥生時代から古墳時代を中心とした集落で、栗東市から草津市にまたがる遺跡です。
今回の調査では、弥生時代から近世以降の建物跡や溝、柵列、土坑、井戸などの遺構が見つかりました。多くの土器のほか石器などが出土し、9月7日に現地説明会を開催しました。当日は130人の人が見学に訪れました。
新聞やテレビでも取り上げられ話題となった掘立柱建物は、東西8・9m以上、南北4m以上、面積35・6平方メートル以上の比較的大きな建物で、柱の痕跡は径約25~30cm、深さ約30~40cmを測ります。柱の掘方から出土した高坏の破片から建物は弥生時代後期前半(1世紀代)以降のものと推定されます。この建物は、後期前半では近江最大の規模になります。また、建物構造は中期後半の守山市下之郷遺跡でみられるような大型建物と共通し、後に続く後期中頃に登場する守山市(一部栗東市)伊勢遺跡の大型建物とは異なり弥生時代中期の要素を残した最終末の建物であるといえます。
中沢遺跡でこれまで行われてきた調査の成果から、集落規模は東西約350m、南北約200mと推定されています。集落の中心時期は下之郷遺跡と同時期であり共通点もいくつか見られますが、中沢遺跡では後期前半に再び集落が拡大し中心集落になる点や、多重の環濠ではなく1~2条の溝により集落を囲んでいた点が大きく異なります。弥生時代後期後半になると、集落の中心が伊勢遺跡や栗東市下鈎遺跡に移りますが、今回の調査成果は弥生時代後期前半の空白期を埋める手掛かりとなる成果になりました。
栗東市出土文化財センターでは、11月5日(火)から10日(日)まで秋のセンター公開をします。中沢遺跡速報展示を行い、現地説明会後に出土した遺物やこれまでの調査で出土したものを展示します。
※詳細はお知らせ版4ページをご覧ください
問合せ:出土文化財センター
【電話】553-3359【FAX】553-3514
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