■道具を大切にする暮らし
昭和30年代ごろまでは、ものがとても少なく道具が壊れたり、故障したりすれば、どんな物でも捨てずに修理をし、くりかえし大切に使っていました。町内でも修理専門の職人さんが、道端で店を広げる風景も良く見られました。また、今のように紙パックやペットボトルなどなかったため、お酒を買うときは貸出用の通い徳利で買っていました。
▽たが屋さん(桶屋さん)
昔の容器はプラスチックではなく、木製の樽や桶でした。樽や桶は何枚もの板を竹のたがでしめて作りました。古くなってゆるんでくると、たが屋が新しい竹で締めなおしてくれました。
たがは、竹を割りロープのように編み上げリング状にします。樽や桶を逆さまにして、たがを被せかまぼこ板や木片を当て回しながら金槌でたたき、竹たがを締め上げ直しました。
▽いかけ屋さん
なべや釜の底に穴があくと、修理をしてくれるのが、いかけ屋でした。「なべー、かまのー、いかけぇー」と言って町を歩き、声がかかるとその場で店開きをしました。穴に金属を溶かしこんだり、リベットを打ち込んでふさぎ、金槌やヤスリで仕上げました。
▽傘の修理屋さん
傘は「こうもりがさ」と呼び、今と違って高価なものでした。骨が曲がったり、折れたり、破れたりした傘を直してくれました。折れた骨は、保管しておいた骨接ぎ用を使って直しました。
▽かじ屋さん
刃物などの鉄製品を造って売ったり、鎌や鍬、鋤等、農具の修理をしてくれました。先欠(さきがけ)と言って、刃が減ってきた鍬等に新しい鉄を当て、ふいごの火で真っ赤に焼いて小槌で打って元に戻してくれました。
▽うつわ持参での買い物
買い物の時は、うつわを持って出かけました。豆腐屋には鍋や深鉢を、醤油屋には一升瓶を持っていくのです。酒屋には貸出用の大きな徳利もあり、飲み終わったら、また同じ徳利に注いでもらいました。繰り返し使えるので、今のように容器のゴミが出ることはなかったわけです。
大量生産、大量消費時代となり物が壊れても修理することはなく、まだ使えるものでもデザインや使い勝手の良いものがあれば、新しいものに買い替えることが当たり前の世の中になっています。
しかし今、※SDGsの時代を迎え、物を大切にする知恵と技術があった昭和の時代を再確認し、リサイクル、再利用を考えたいものです。 ※経済、社会、環境問題に取り組み持続可能な社会をつくる事
参考資料・イラスト:「昔のくらしの道具事典」岩崎書店
問合先:ふるさとプロジェクト(図書館)
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