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写真でたどる ふるさと再発見 No.59

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滋賀県甲良町

【金屋千草盆(ちぐさぼん)とヤッサ】
町内のお盆は8月7日、金屋の「千草盆」(七日盆)から始まります。
それは、金山神社で行われる珍しい行事で、道祖神の自然石「ヤッサ石」に「ヤッサ」と呼ばれる千草と草花で飾られた大変美しい「つくりもの」が供えられる行事です。(近年は7日に近い土曜か日曜日に実施)
千草盆は、今から600年前、佐々木道誉の頃に始まったそうです。江戸時代に書かれた淡海古説には、「毎年七月七日には千草の綱引きとて、千草を一にぎり刈りわらにてくくり、其の上に時節の色々の花をさし神前にそなえ、夜五つ時の頃、その千草を綱により村人引き合いて五穀成就の祭り事をする」とあります。それがいつの頃からか、男子出生の家が我が子の成長と五穀豊穣を願い、野の幸に工夫をこらしてお供えするようになったものが今日の「ヤッサ」になったと考えられています。「ヤッサ」の語源は野の幸や草花で作ることから「野幸」「家幸」が変化したものと伝わります。
「ヤッサ」は、円筒状(直径約50cm高さ約1.5m)の麦わらを芯にして千草を巻き、赤・黄・紫・白など色とりどりの草花を横縞に飾り付け、上部には船形を取り付けます。船のへさきには笠をかぶりミノを着て男性の巨大なシンボルを出す船頭さんがつけられます。そして船頭さんがすっぽり隠れてしまうほど、船一杯にススキや虎の尾(ヒモゲイトウ)が飾られます。ヤッサは船形の部分は女性、胴の部分は男性を象徴しており、口伝で継承されてきました。
ヤッサの胴の正面には親の願いが込められた「つくりもの」が、芋、キュウリ、ナスなど野菜を使ってつくられます。正直者に育ってほしいと「花咲か爺さん」、丈夫な子になってほしいと「金太郎さん」など昔話の主人公が多かったそうですが、最近ではドラえもんやトトロも登場し子どもたちに喜ばれているそうです。
翌日の朝にお供えした「ヤッサ」は、二つを抱き合わせてくくり、社殿の西側の杉の木に綱を張って「たねヤッサ」としてぶら下げられ、長く残っていると豊作と言い伝えられています。
今年の千草盆は8月4日です。最近では、少子化により金屋郷づくり委員会によるヤッサも作られています。金屋の人たちに長く継承されてきた「ヤッサ」づくり、末永く伝承していただきたいものです。
参考文献:ヤッサの里金屋誌 甲良町史 近江の祭りと民俗

問合先:ふるさとプロジェクト(図書館)
【電話】38-8088【FAX】38-8089

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