厚生労働省によると、認知症高齢者の数は、2025年に全国で約471万人、65歳以上の高齢者の約8人に1人に達すると見込まれています。これを宇土市の人口に置き換えると、約1,400人に相当します。加えて、65歳未満にも若年性認知症の人がいることを考えれば、普段の生活の中で認知症の人と接することは当たり前の時代になってきているのではないでしょうか。
9月は「認知症月間」です。今回の特集では認知症予防と家族介護者への支援にスポットを当てて認知症に向き合います。認知症になっても安心して暮らせる宇土市を目指して、ともに考え、ともに学んでいきましょう。
宇土市では、昨年からオレンジガーデニングプロジェクトに参加しています。認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色で市内を彩るこの活動。認知症月間の9月に皆さんも身近にオレンジの花を飾ってみませんか。詳しくは本紙6ページをご覧ください。
■1.認知症を予防する
認知症の予防とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を遅らせる」という意味です。予防には脳に刺激を与えることが重要で、他者交流と運動が有効です。
◇お元気クラブ紹介
自分らしい生活を続けていくためには、元気なうちから適度な運動を続けることが重要です。おおむね65歳以上を対象に、身近な公民館などで開催しています。サポーター養成講座を受講した介護予防サポーターがお手伝いします。
▽参加者にインタビュー
・網津地区 髙木さん
活動に参加して明るくなり、体も鍛えられると同時に新たなつながりや趣味が増えて、充実感を感じています。日常を良い方向に変えてくれています。
・網津地区 伊勢さんご夫婦
楽しみや笑顔が増し、外出時の皆さんの優しさが嬉しいと感じています。さらに、家でできる筋トレなどの取り組みが相乗効果を生んでます。認知症予防にも役立っています。
開催場所(R6年5月現在)※地区順
※祝日などで日程・時間が変更になることもあります。
問合せ:
あさひコート(宇土・轟・花園地区)【電話】23-5266
景雅苑(網田・網津地区)【電話】27-1708
◇ふれあいクラブ紹介
外出の機会を増やすことが、認知症予防にも効果的です。介護予防や地域の支え合いを目的とした活動で、ビデオ体操やサポーターさんによるレクリエーション、茶話会や食事会など、さまざまな取り組みを行っています。詳しい内容は、下記までお問い合わせください。
問合せ:市社会福祉協議会
【電話】23-3756
◇友遊(ゆうゆう)宇土(老人福祉センター)、友遊(ゆうゆう)西部(西部老人福祉センター)紹介
楽しんで過ごせる催しが、いろいろ開催されています。皆さんも参加してみませんか。60歳以上の人ならどなたでもご利用できます。(入館料100円、市外の人300円)
利用時間:9:00~17:00
休館日:土曜日、日曜日、祝日、12/29~1/3
問合せ:
友遊(ゆうゆう)宇土(老人福祉センター)【電話】22-1008
友遊(ゆうゆう)西部(西部老人福祉センター)【電話】27-1688
◇これからの未来を示す認知症基本法
▽認知症基本法とは
令和5年6月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(通称:認知症基本法)」が成立し令和6年1月1日に施行されました。認知症基本法は、法律の目的や基本理念、認知症施策推進基本計画、基本的施策、認知症施策推進本部の設置などについて定めています。さらに、国や地方公共団体、事業者、国民の責務を規定しています。
この法律では、共生社会を「認知症の人を含めた国民―人―人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力のある社会」と定義しています。
▽認知症基本法の目的
「認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進」することが認知症基本法の目的です。
▽7つの基本理念
(1)ご本人・ご家族の意向尊重
(2)国民の理解による共生社会の実現
(3)社会参加できる機会の確保
(4)切れ目のない保健医療サービス・福祉サービスの提供
(5)ご本人・ご家族などへの支援
(6)予防・リハビリテーションなどの研究開発の推進
(7)各関連分野の総合的な取り組み
※認知症とは「アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態」をいいます。
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