市では高血圧を健康課題とし、血圧プロジェクトを立ち上げました。子どもから大人まで健康づくりに親しみを持ってもらうため、ライフステージに応じた高血圧予防対策を展開しています。
◆決して人ごとではない高血圧
9月13日、保健センターで高血圧予防相談(左囲み)が開かれていました。「3年程前から、会社の健康診断で『血圧が高いから気を付けないといけないよ。年齢を考えると急に倒れることもあり得るからね』と医師から言われていたんです」と話すのは、相談者の市橋利文(下写真)さん。高血圧を認識していたものの何も症状はなく、仕事は普通にできるし、運動だってできる……。自分には関係ないと、喫煙や不摂生な生活などを改めなかったと言います。
そんな市橋さんが高血圧と向き合い始めたきっかけは、生死をさまよう友人の姿を見たことでした。「同世代の友人がゴルフをしている最中に倒れて、病院に運ばれたんです。高血圧による脳卒中でした。奇跡的に回復しましたが、これはしゃれにならない。自分の健康をちゃんと考えないといけないなと思わされました」。降圧薬での治療を始め、生活面を相談したいと思った市橋さん。市公式LINEで届いたお知らせの中に、高血圧予防相談を見つけ、予約しました。
「予防相談で『今は自覚症状がなくても、このまま何もしなければ、この先良いことはない』と直接言われ、ハッとさせられました」と、話します。相談1回目は、塩分コントロールや、朝食を取ることの大切さを学んだそう。「カリウムを多く含むバナナを朝食で取る、サラダにかけるドレッシングの量の半分をレモン果汁に変えれば塩分摂取も半分になるなど、気付きの多い内容でした」と、充実した表情を見せます。
多くのメディアで高血圧の怖さを周知しても、人ごとに感じてしまいがち。「この相談は自分の食生活などを話した上で、自分のための対策を一緒に考えてくれます。説得力があるし、真剣になりますよね。良い機会になりました」。
◇高血圧予防相談(3カ月継続相談です)
血圧が気になっている方や、降圧薬を飲んでいるけれど、食事や生活などの対策方法が分からない方などに、保健師と栄養士が一緒に対策を考えます。日程など、詳しくは市ウェブ(2次元コード)をご覧ください。
場所:保健センター(東豊田448-3)
対象:市内在住・在勤の74歳以下で血圧130/80ミリHg以上の方
応募方法:電話で、健康課【電話】55-2111へ
◆早めの血圧コントロールを意識
市国民健康保険加入者の特定健康診査結果を見ると、平塚市は国や県に比べて血圧130ミリHg以上の方が、ここ数年多い傾向にあります(左グラフ)。130は高血圧の診断基準(左下囲み)より低い血圧ですが、高血圧の一歩手前の高値血圧といわれます。120未満の正常血圧の方に比べて1・5~2倍、脳卒中や心臓病にかかりやすいことが分かっています。「血圧130は高血圧と診断されない数値だからと安心するのは危険です」と、市保険年金課の五十嵐郁子保健師(右写真)は話します。五十嵐保健師は続けて、「市国民健康保険加入者で、令和2~4年度に新規脳血管疾患で入院した患者の健診・医療受診状況を見ると、健康診査を受けていた方は約2割。発症前に高血圧で医療機関に通院していた方は約4割。このようなことから発症者は、健康診査未受診で高血圧に気付いていなかったり、治療せずに放置していたりする可能性が高いんです」と説明します。
高血圧は初期に自覚症状がほぼなく、血圧計で測らないと気付きません。「健康診査を受け、早めに血圧を管理することが、脳卒中や心臓病などの予防につながります」。
※グラフ等は下記参照
※写真は本紙をご覧ください。
◇子どもの頃から習慣づくり
高血圧は子どもの頃からの生活習慣が深く関わります。市健康課の田邊道代保健師は「規則正しい生活や運動習慣を身に付け、バランスの良い食事をすることが、将来の高血圧リスクを下げることになります」と、幼少期からの健康づくりの重要性を話します。市では、血圧プロジェクトを立ち上げ、キャッチフレーズ『元気な血管をいつまでも』とロゴマーク(左絵図)を作りました。「子どもから大人まで、高血圧予防の取り組みを、より一層進めていきます」と力を込めます。
※図は本紙をご覧ください。
・国民健康保険加入者の特定健康診査における血圧130ミリHg以上の割合
国保データベース(KDB)システムより
・高血圧の診断基準
診察室血圧:140/90ミリHg以上
家庭血圧:135/85ミリHg以上
医療機関で測った血圧(診察室血圧)が140/90ミリHg以上、または家で測った血圧(家庭血圧)が135/85ミリHg以上で、高血圧と診断されます。
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より
問い合わせ:
国民健康保険特定健康診査…保険年金課【電話】72-7266
高血圧対策事業…健康課【電話】55-2111
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