8/27(火)~10/14(月・祝)
俳聖・松尾芭蕉が記した『おくのほそ道』で、東北・北陸を巡る旅の最後に訪れたのが敦賀です。
古くから交通の要衝として栄えた敦賀で、芭蕉は地元の文化人と交流し、その体験は『おくのほそ道』という日本の古典文学を代表する作品に描かれました。
今回の展示では、芭蕉が残したと伝えられる杖や、旅に同行した洞哉(とうさい)が色ケ浜で書き残した『色ヶ浜遊記』、芭蕉が泊まった宿に残された、芭蕉をしのぶ人たちが残した資料をはじめ、近世敦賀の俳諧関係の資料を展示します。
■『ほそ道』所縁の地ウォーク開催
日時:10月14日(月・祝)10時
申込み:要予約
料金:200円(資料・保険代含む)
■『おくのほそ道』にある敦賀で詠まれた句
芭蕉が敦賀に到着したのは、元禄2年(1689)旧暦の8月14日、中秋の名月の前の晩でした。芭蕉は、氣比神宮で月の美しさに感じ入り、
月清(つききよ)し 遊行(ゆぎょう)のもてる 砂の上
と読みました。
この「遊行のもてる砂」とは、鎌倉時代、遊行(ゆぎょう)宗(現在の時宗)の他阿真教上人(たあしんきょうしょうにん)が氣比神宮に参拝する人々のために砂を運び、ぬかるむ参道を整備したという故事にならい、その後、歴代の遊行上人(ゆぎょうしょうにん)が氣比神宮に砂を運ぶ「お砂持ち神事」を行っていることからきています。月に照らされた境内の神聖な美しさを現代に伝えてくれる句です。
その翌日、芭蕉が楽しみにしていた名月は、雨が降って見ることができませんでした。
名月や 北国日和(ほっこくびより)定(さだめ)なき
この日の逸話はありませんが、終日敦賀の俳人、文化人たちと交流していたのだろうと推測されています。
その翌16日は良い天気となり、芭蕉一行は、敦賀の豪商であり俳人である天屋五郎衛門(てんやごろうえもん)のはからいで、舟で色ヶ浜に向かいます。
色ヶ浜では、平安時代末期の歌人・西行法師(さいぎょうほうし)が和歌に詠んだ「ますほの小貝」を拾い、夜はささやかな宴会を楽しんでいます。
寂(さび)しさや 須磨(すま)にかちたる浜の秋 浪(なみ)の間や 小貝(こがい)にまじる 萩(はぎ)の塵(ちり)
小さな薄紅の貝がらと混じり合うこぼれる萩の花びら、目を転じれば砂浜の景色は染み渡るような秋の気配を漂わせています。歌枕・色ヶ浜の場面は、300年以上前の、芭蕉が遊んだ浜辺の浪の音まで聞こえてくるようです。
■同時開催 天狗党資料展
江戸時代の終わり頃、水戸藩から脱藩、尊王攘夷の旗を掲げて挙兵するも、敦賀で処刑された天狗党に関する資料を展示します。
敦賀市指定文化財となっている武田耕雲斎の肖像画や、耕雲斎が使っていた陣羽織など、貴重な資料を紹介します。
▽会期中のイベント
武田耕雲斎等墓現地見学会
国史跡「武田耕雲斎等墓」周辺整備が完了することから、現地見学会を実施します。
日時:10月12日(土)10時、11時(2回)
場所:武田耕雲斎等墓駐車場
定員:各30人(先着順)
内容:武田耕雲斎等墓ガイダンスと旧鯡蔵(にしんぐら)について、学芸員が解説します。
■休館日
毎週月曜日、9/17、9/24(9/16、9/23、10/14は除く)
臨時休館(展示替え):10/16、10/17、11/26、11/27
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