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自治体の皆さまへ

SDGsで共に創る 持続可能な行方 第46回

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茨城県行方市

◆エネルギーとSDGs
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里

1.私たちの生活に不可欠なエネルギーと持続可能性
今年の夏も猛暑となり、茨城県そして各地で35℃を超える危険な暑さとなっています。気候変動の影響が懸念されますね。熱中症予防など私たちの健康を守る上で、エアコンの適正な使用は不可欠です。私たちの経済・社会生活にはエネルギーが必要となります。
SDGsの目標7では、「すべての人々が、手頃な価格で信頼性の高い持続可能で現代的なエネルギーを利用できるようにする」とされています。日本のエネルギーの持続可能性については、次のような課題が指摘されています。化石燃料への依存率が8割を超えていることと、化石燃料のほとんどは輸入であり、その約9割が中東に依存していることです。

2.効率的なエネルギー利用ーエネルギー強度とは?
私たちの経済・社会生活を持続可能なものにするためには、効率良くエネルギーを利用する必要があります。SDGsターゲット7・3は「2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる」と定めています。エネルギー強度(EI)は、このエネルギー効率を測る上で重要で、SDGsグローバル指標の7・3・1として挙げられています。
エネルギー強度とは、GDP当たりの一次エネルギーで、経済活動のエネルギー効率性を示します。各国のEIは「一次エネルギー国内供給量」を「実質GDP」で割った値になります。したがって、この数字が小さい方が、エネルギー効率が良いということになります。
なお、一次エネルギーとは、石油、天然ガス、石炭といった化石燃料をはじめ、水力、原子力、風力、潮力、地熱、太陽光等の自然から直接採取できるエネルギーのことです。一次エネルギーを転換・加工したものを二次エネルギーといいます。例えば、火力発電所で石油を燃やして得られる電力が二次エネルギーになります。

3.持続可能な開発シナリオとエネルギー
日本も加盟する国際エネルギー機関(IEA)は、「万人のための安全で持続可能なエネルギーを政府や産業と共に実現する」ことをミッションとしています。IEAは、エネルギー政策全般に関わる重要な国際機関で、安全保障の確保、環境保護、経済成長、世界的なエンゲージメント(※)を共通の目標に掲げています。(IEA2021:7)
IEAは、持続可能な開発シナリオ(SDS)を提示、二酸化炭素の排出削減(SDGs目標13、気候変動対策)、大気汚染対策(目標3、健康)や万人のためのエネルギーのアクセス(目標7)に取り組んでいます。IEAの『グローバル・エネルギーおよびCO2現況報告書』(2019年)によれば、SDSの実現に向け、毎年3%以上のEIの低下、つまりエネルギー効率の改善が必要とされています。2010~2018年の期間、世界経済全体のエネルギー効率は改善傾向にあるものの、SDSの想定には届いておらず、より一層の努力が求められています。

図 エネルギー強度(EI)の年平均変化と持続可能な開発シナリオ(SDS)

出典:IEA(2019:23)

※Energy security,Environmental protection,Economic development,Engagement worldwide.

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