Thousandth Anniversary of Izu Literature
■源氏物語の時代の熱海
思ふ事ひらくるかたをたのむには
伊豆の御山(みやま)の花をこそ見め
相模(走湯百首)
[訳]心中の思いが晴れるよう祈願するからには、この霊験(れいげん)あらたかな権現様のいらっしゃる伊豆の御山の花が開くのを、そして心中の悩みが晴れるのを見たいものです。
源氏物語が宮中で読まれていた今からちょうど千年前の治安四(1024)年、伊豆山の神様に『走湯(そうとう)百首』が奉納されました。
しずおか遺産「文学の聖地「伊豆」と温泉」が認定されているように伊豆・熱海にゆかりのある文学者は数多く、名誉市民の杉本苑子先生、橋田壽賀子先生を筆頭に女性文学者もいますが、その先駆けは、平安時代に小倉百人一首の歌人として知られている「相模」といわれています。彼女は、鎌倉時代には順徳上皇に「紫式部」と並び称賛された女性歌人です。
その名の由来である相模国司(こくし)の妻として、たびたび伊豆山を訪れ、伊豆山の霊験や急坂の情景を詠んでいます。これは聖地巡礼、観光のはしりともいえるかと思います。
平安時代の女性が実際に旅をして現地で歌を詠んだ地は都の周辺以外では希少です。熱海には多くの文化財が残されていることなどからも、平安時代には都で有名な観光地であったと考えられます。
市では令和6年が「伊豆文学誕生千年」であることを記念して、平安から鎌倉時代の熱海に関する文化財についての講演会や伊豆山郷土資料館などで特別展示を予定しています。
御山路(みやまじ)の音に聞きつるさかゆけば願ひ満ちぬる心地こそすれ
相模(走湯百首)
[訳]伊豆山の噂に聞いていた急坂を登っていくと、この身も栄え、願いもかなう気がします。
◆伊豆文学誕生千年記念講演
「文学の聖地・源泉としての熱海」
講師:中央大学文学部 吉野朋美教授
日時:2月18日(日)午後2時30分
場所:ハートピア熱海
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