文字サイズ
自治体の皆さまへ

【特集】わたしと、認知症(1)

2/23

静岡県藤枝市

高齢化社会を迎える中で、いまや身近な存在となりつつある認知症。市では、県内で初めて「認知症とともに生きる共創のまちづくり条例」を制定し、認知症の人も含めたすべての人が自分らしく暮らすことができるまちを目指しています。

■人生100年時代到来
医療が進歩し、寿命が伸び続けている現代。昭和30年代と比べると、男女ともに約20歳も平均寿命が延びています。長く生きる人が増える中、「認知症」と付き合い、ともに生きていくことが当たり前になってきています。
年齢を重ねるほど発症率が高くなる認知症。2060年には、高齢者の3人に1人が、認知症もしくはMCI(認知症の前段階)の症状を持つと予測されています。


3人に1人
出典:「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」
(代表者:二宮利治(九州大学教授))

■認知症になったら…どうなる?
市民を対象とした意識調査を行ったところ、約4割の人が「認知症になったら何もできなくなる」「今いる場所で生活できなくなる」とのイメージを持っていました。
もちろん認知症の症状により日常生活に不便をきたす人もいますが、果たしてそれがすべてでしょうか。「私がわたしであること」に変わりはない。そんな風に、自分らしく暮らすことができるまちに向けて、それぞれの立場から話を聞きました。

■認知症とともに、私は生きていく
認知症といっても、その暮らしや症状は人それぞれ。一足先に認知症になった私たちから皆さんに、「今」の生活や思いをお伝えします。

○働き続けることが1つの目標になっています
システムエンジニアとして働いていた57歳の時、自分では気付いていなかったのですが、物忘れがあると周囲から指摘されて受診し、若年性認知症だとわかりました。仕事も退職することになり、これからどうなってしまうのだろう、と不安が押し寄せました。それでも私は仕事のない生活に耐えられず、今はプラモデルの袋詰めや農作業などをやっています。日々の生活の中で失敗することはありますが、でもそれは認知症の人であっても、そうでなくても、誰でもありますよね。そこで気付きを得て、次は失敗しないためにどう工夫すればよいか考えていけばよいのだと思っています。
永井三彦さん(60代男性)

○不安はあるけれど、日々の生活を大切に
認知症になってから1番ショックだったのは、息子の名前を聞かれて、答えられなかった時ですね。生まれてから大事に育ててきた息子なのにそんなことあるのかと、本当に泣きそうになりました。
今は毎日の散歩が日課になっています。外に出ると気分転換にもなりますし、万歩計をつけると歩いた成果が目に見えて、励みになっています。でも、未だに朝起きたときに「自分はこれからどうなってしまうのだろう」「さらに悪化してしまうのではないか」という不安に襲われます。そんな時は、壁に貼った孫の写真を見て、今日も自分はここにいるんだ、と心を落ち着けています。

トイレットペーパーの芯を使って人形を作るのが趣味のひとつ。
どれも個性的でかわいらしい表情をしています。
片山美さ子さん(70代女性)
※片山さんの「片」は環境依存文字のため置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。

■認知症の人を支えるご家族から
○その人がもつ“個性”は失われない
認知症の夫の介護を約10年続けています。介護しながらも「この人は認知症でなかったらどんなことがしたいのかな」「何をしたら楽しいのだろう」と日々悩みます。
ある時、夫が夕焼けを見て「すごいなぁ、きれいだなぁ」って感激していて。日常生活での介護は大変だけど、そういう感性や個性って、ずっと失われないで続いていくんだなぁって思いますね。
長野雅子さん

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU