このコーナーでは、何気ない日常で見つけた素敵なデザインを楽しみます
▼四社神社(ししゃじんじゃ)
今回は例年11月14日に秋祭りが行われる能津地区の四社神社を紹介します。
▽祭神
祭神の表筒男命(うわつつのおのみこ)、中筒(なかつつ)男命、底筒(そこつつ)男命はイザナギが禊をしたときに水中で生まれたとされ、この三柱は住吉三神(すみよしかねさんじん)とも呼ばれ、航海や漁業の神として信仰されている神様です。仁淀川沿いに位置する能津(※1)地区は地名が表すように仁淀川の水運や川漁で用いられる川舟と関わりが深い地域であるので、川舟の安全祈願や洪水からの守護神としての意味合いも持つといわれています。また一緒に祀られている神功皇后とも関わりが深い神様でもあり、四社神社という名前は、この四柱の神様に由来した名前だと考えられます。
※1 現地は仁淀川に沿ってあり、字名にも「渡場」があり、能(良い)津(港)。
▽歴史
勧請年月日、縁起沿革等不祥ですが、石灯籠には「天保七丙申年」(1836年)と刻まれています。
▽建築
基壇は近世期の古い石積で、神社形態も近世期の形態を踏襲していると思われます。鞘殿で囲われた本殿の龍や鳳凰、獅子や牡丹などの彫刻は本当に見事で、屋根の上では魔除けの鬼が目を光らせています。
▽祭
以前は社殿横の広場と「おなばれ」で行った仁淀川の河原で「こおどり」(※2)が踊られていました。音頭が♪橋の下なる、鵜の鳥ごらんよ鮎をくわえて、あげのとばりで羽をのすよ、羽をのすよのと唄えば、締太鼓が響き、鉦が鳴り、白い団扇が左に右に大きく揺れる「こおどり」を奉納していましたが、現在は休止中です。
※2 「こおどり」は長畑と宮ノ谷で交互に奉納され、それぞれの地区で音頭や太鼓、鉦のやり方に違いがある。この違いは地区外の人には分かりづらい面があるが、地域の大事なアイデンティティーである。
•参考資料
・令和4年度日高村文化財保存活用地域計画策定委託業務(概要調査)報告書
・高木啓夫「土佐の祭り」高知新聞社1992年
・日高村文化財保護審議委員会「日高村文化財誌」1972年
※先月号で紹介した「どんどん岩」について追加情報があり、旧能津保育所裏の大岩を地元では「どんどん岩」と呼ぶようです。
※社殿には鍵がかかり、普段は本殿や絵馬を見ることはできません。
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