くらし 動物園からの手紙【424通目】

■静かな夏、動物たちの声
今年の夏というか7月に入ってから暑い日が多かったですね。年々増すように感じる肌を刺すような日差しの強さに異常さを感じます。ボルネオへの恩返しプロジェクトで訪れる、赤道直下のボルネオ島と変わらないのではと感じてしまう日もありました。今年の暑さの中で一番不気味さを感じたのは、夏に鳴くエゾゼミの声がほとんど聞かれなかったことですね。ここまで少ないのは自分の記憶では初めてのことです。日本には四季があり、そのリズムの中で植物を含めすべての生き物が調和とバランスを保っています。四季のリズムが狂い始めたような怖さを感じる夏でした。
動物園では、マヌルネコの新たな屋外放飼場と、ヒトの子供用の遊具エリアの建設を行っています。マヌルネコ放飼場は、現在の施設ではなかなか発現しない独特の行動や習性が目覚める施設を目指しています。どんな行動かは完成後のお楽しみということで…。ヒトの子供の遊具エリアは、できるだけシンプルな遊具をそろえ、スポーツ競技のようにある目的のために体を動かすのではなく、体を動かし使うことが楽しくなる、そんなコンセプトです。もちろん旭山動物園ならではの仕掛けも盛りだくさんです。
朝晩はすっかり涼しくなり紅葉の季節を迎えますが、やはり気になるのはヒグマですね。ここ数年、私たちの想定を超えてヒグマとの関係が同時多発的に悪化しています。オオカミは絶滅させたけど、ヒグマとは共存できてきた理由の一つに、ヒグマがとても臆病(というより慎重で保守的)で人の生活に大きく干渉してこなかったことがあります。例えるなら、石橋を叩いてもなかなか渡らない慎重なヒグマにとって、生まれ育った環境とは異質な物質、匂い、音、そして家畜やヒトが高い壁になっていたのだと思います。その心理的な壁が崩れ、石橋を渡るヒグマが続々と現れているのが今なのでしょう。夜中にこっそりではなく白昼人目を気にせず大胆に、が象徴的な行動の変化だと思います。ヒグマはヒトを観察しています。ヒトの行動の変化が壁を崩しているのかもしれないということも、真剣に考えないといけないと感じます。
秋が来て冬が来る、当たり前の年の瀬を迎えられるといいですね。

■旭山ピックアップ Asahiyama Zoo pickup
▽第57回児童動物画コンクールの入選作品が決定
ご応募ありがとうございました
応募作品1,215点の中から、旭川市長賞をはじめ103点が入選しました。入選作品は、11/3(月)まで、いこいの広場休憩所で展示しています。
※詳しくは本紙をご覧ください

■動物園をもっと楽しむ
動物園では他にもイベントいろいろ!園内イベントの詳細は決まり次第、同園HPに掲載

▽休園期間と開園時間変更のお知らせ
夏期開園:
・10/15(水)まで9:30~17:15
・10/16(木)~11/3(月)9:30~16:30(いずれも入園は16:00まで。期間中は無休)
冬期開園:
・11/11(火)~来年4/7(火)まで10:30~15:30(入園は15:00まで)休園
・11/4(火)~10(月)、12/30(火)~来年1/1(木)

詳細:旭山動物園(東旭川町倉沼)
【電話】36-1104