- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道歌志内市
- 広報紙名 : 広報うたしない 令和7年12月号
■「歌志内の古事記」
歌志内の始まりはどのようなものであったか?ということ興味を持って調べています。
その始まりは炭鉱の始まりと同じ明治22年にさかのぼる訳ですが、どの資料を読んでも「当時の歌志内には、カラスが2羽いるだけだった」と書かれているのです。
一体誰がこの「カラスが2羽しかいなかった」という話を書いたのか?なんだか子どもが読むおとぎ話のようなこの描写、昭和28年の町勢要覧にも、もっと古い昭和13年の村勢要覧にもすでに書かれているのです。
このお話の原典を探していたところ、郷土館で活動している地域おこし協力隊の石井泰紀(いしいやすのり)隊員が「発掘」してくれたのが「郷土物語」です。
昭和5年当時、歌志内小学校の先生であった櫻田祐次郞(さくらだゆうじろう)という方が書いたものが初めとわかりました。手書き原稿、推敲(すいこう)の跡も残っており、流れるような美文調。当時の小学生に読ませる副読本として書いたものではないかと思われます。
この先生が開拓時代の貴重な記録を書き残してくださったおかげで、21世紀を生きる私たちも当時の様子を知ることができるのです。95年前のこの記録はまさに歌志内の「古事記」。記憶を記録にしていくことの大切さを改めて感じ、来年はもっと始まりの歴史を掘り下げていこうと考えているところです。
〔地域おこし協力隊 石井葉子〕
