- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道天塩町
- 広報紙名 : 広報てしお 2025年5月号
●大人の発達障がい(4)
町立病院の薬剤師の寺門です。今回も「発達障害」について、書かせていただきます。
本来、職場において良好なコミュニケーションが取れていると、個人の悩み事やストレスは職場内で共有され解決する方向に向かいます。
しかしながら、発達障害を抱える人の場合、そもそもコミュニケーションがうまくいかないという特性を持っています。特に相手の気持ちの洞察や、話の内容の推測をとても苦手とするため、周囲の話を「独自の解釈」で思い込んだり、深く考えていない「衝動的な発言」をしてトラブルに発展することが多々あります。
また、話の内容や書面の理解が難しいゆえ、業務上扱う法律や専門用語、仕事のノウハウなどの定着に時間を要してしまいがちなうえ、マイルールやルーティンに強いこだわりを示す傾向があったり、自分の関心事以外、目に入らなくなるのも特性の一つです。
こうなると、職場内でのルールの共有や遵守が難しく、上司や先輩からの指導(OJT)やマニュアルの遂行に大きな支障をきたします。
では、このような発達障害の特性を持つ人々がどのようにすれば、スムーズな社会参加のためのスキルを身につける事が出来るのでしょうか︖
重要なのは、コミュニケーション能力や感情のコントロールを可能にするスキルを身につけることです。このスキルを身につけるためのトレーニングを「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」を言います。発達障害の特性を持つ人は、このトレーニングを通じて社会に溶け込み、活動する方法を身につけていきます。
SSTは専門家の指導のもと行われるのが一般的です。
具体的なSSTの進め方の例を示します。
(1)職場でのコミュニケーションの内容を細かく(より具体的に)列挙する
(2)発達障害の特性を抱えた人がどの部分で難しいと感じていたかを整理する
(3)整理した情報を基に、どのように伝えれば(会話すれば)難しさが軽減するのかを導き出し、実施してみる
※本人が強い不安や苛立ちを見せた場合は、時間をあけるなど落ち着いてから実施する
※作業や課題に取り組むときは、時間を決めて行う
※SSTを行う者は、出来るだけ本人がリスペクトしている人物がよい(本人が嫌っている人物が行うとうまくいきません)
発達障害の特性は、人それぞれ異なります。同時に「困り感」もそれぞれ異なります。
よって、本人の「困り感」や支援については、何度も整理して検討する必要があります。
以下に主なSST実施機関を記載しますので、不安を抱えている方は参考になさって下さい。
・病院(心療内科・精神科など)
・若者サポートステーション
・発達障害者支援センター
・就業・生活支援センター
・ハローワーク
・自立訓練事業所
・地域障害者職業センター
・就労移行支援事業所、就労継続支援A型・B型事業所
お問い合せ先:天塩町立国民健康保険病院
【電話】(2)1058