- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道浦河町
- 広報紙名 : 広報うらかわ 令和7年8月号
馳星周(はせせいしゅう)
1965年、浦河町生まれ。
1996年『不夜城』で小説家としてデビュー。
2020年『少年と犬』で第163回直木賞を受賞。
2020年に直木賞を受賞した「少年と犬」が、ついに映画化され、浦河町の大黒座でも7月13日から8月9日まで公開されます。
作家生活の原点であり「最高の故郷」と語るこの町で、馳さんが作品に込めた想いや、浦河町での映画公開についてインタビューをしました。
Q.「少年と犬」の直木賞受賞から5年。改めて、この作品はどんな存在ですか?
ぶっちゃけた話、特にこの作品だけが大切ということはないんです。どの作品も大切ですし、一生懸命書いています。常に今書いてる作品が1番大切な作品ですね。
ただ、この作品は東日本大震災のことを忘れてないよ、という被災者の方へのメッセージでもあり、また犬という存在が、人間にとってどういうものなのかということを通して描きました。
Q.受賞の知らせは浦河町で受けられたそうですね。
出版元の文藝春秋から「東京に来てくれ」と言われたけど、「こんな暑い東京に行けるか」と(笑)。仲間たちと浦河町で待たせてもらいました。
受賞の電話を受け、報告すると皆が喜んでくれて、浦河町にいる時にもらえて本当に良かったなと思っています。そういった意味では思い出深い作品です。
Q.ご自身の小説が映画になることについて、どうお感じですか?
何本か既に映画になっていますが、基本的に小説と映画は違うもので、僕の小説を土台にして別なものを作り上げる作業だと思っており、基本的にはお任せしています。
ただ、映画化される時には、僕の思いと違うのは嫌なので、必ず台本だけは読ませてもらってます。
Q.映画が大黒座で公開されますがどのような気持ちですか?
僕が子どもだった当時の映画は、一大娯楽で、大黒座に行くのはいつも楽しみにしていました。
その大黒座で僕の原作の映画やるのかって(笑)。本当に嬉しいですね。
Q.映画を楽しみにしている町民へメッセージをお願いします。
主役の西野七瀬さん、高橋文哉さん、そして犬のさくらちゃん。素晴らしい演技をしています。
僕も西野さんがアイドルだったとか知らなかったけど(笑)、本当にいい役者さんたちです。ぜひ、大黒座で楽しんでください。
毎年6月から9月までの夏を浦河町で過ごす馳さん。
子どもの頃は「馬が嫌いで、友達の牧場に遊びに行くことはなかった」と話し、当時図書館へ通っていた少年が、今では多くの小説を書き、浦河町を「最高の故郷」と呼びます。
インタビューの最後には「この町で生まれてよかったと本当に思います」と故郷への深い愛情を語ってくれました。
■映画「少年と犬」が現在、大黒座で公開中!
○あらすじ
震災ですべてを失った犬の「多聞」が、離れ離れになった少年に再び会うため、5年の歳月をかけ日本を縦断する。
旅路の中で出逢った、傷つき、悩み、そして惑う人々。出逢いと別れを繰り返しながら多聞は約束の場所へ進んでいく。
上映日程:7月13日〜8月9日(水曜日休館)
上映時間:
(1)午後1時30分〜
(2)午後7時〜
料金:
一般…1,500円
大学生…1,200円
シニア(60歳以上)小中高校生…1,000円
幼児…800円