くらし しかりべつ湖(Lake SHIKARIBETSU)

◆「寒さの作り出す芸術」
「凍てつく寒さ」という言葉が身をもって感じられるのがこの如月。凍てつきがさらに一段階は上がった、ちりちりとした頬を刺すような寒さです。北海道の中でも標高の高い然別湖の「凍れ」に「さすが然別湖だな」と感心しきりの毎日。いざとなれば暖かい建物の中に逃げ込める心の余裕があるから、このような気持ちも生まれるのでしょう。
この凍てつく寒さは、空気中の水分をも凍らせてしまいます。ダイヤモンドダストに霧氷などが見られるのもこの季節の特徴です。
この数年、寒さを利用した実験でシャボン玉を空高く吹かずに、そっと膨らませては雪面に割らないように着地させ、凍って行く様を観察するというのに注目が集まっています。最初はシャボン玉の表面に液が対流をしているのですが、次第に小さな結晶が一つまた一つとシャボン玉の中に現れてきます。次第に結晶が集まり大きな結晶を形成していき、ものの数秒でシャボン玉全体が結晶に覆われて凍りつきます。微風で割れてしまう儚いシャボン玉ですが、凍りつけばふわふわと飛んでいる時よりも形状を維持している時間が長くなります。
結晶は鳥の羽や、松の木の枝葉の生え方とそっくりで、繊細なフラクタル模様のデザイン。一瞬で模様を施していく寒さの芸術性の高さに、幾度もシャボン玉を作っては結晶ができていくのを観察してしまいます。つい夢中で時が経つのも忘れてしまいがちと言いたいところですが、凍てつく寒さの中なので、身体はしっかりと冷え切り、そう長いこと屋外で観察はできません。
この結晶、シャボン玉の表面や車のフロントガラスという二次元で現れる以外にも、凍りついた湖面や木々の枝先に三次元でも見ることができます。空から降ってくる雪の結晶や、氷結した湖面や枝に現れるフロストフラワーと呼ばれる氷の結晶です。空気中の水分が冷やされ枝などに触れた瞬間に凍りつきます。雪の結晶よりも大きいため観察しやすいですし、シャボン玉よりも微風に強く、そよいでいます。結晶の模様はやはり羽根や枝葉をイメージする模様で、軽やかで可愛らしい。陽射しで温められると溶けてしまうので、日の出の瞬間までが観察のチャンスです。
結晶観察にはこの厳しい寒さが不可欠です。服をさらに着込んで厳寒の作り出す芸術の世界に触れてみませんか。

写真・文:然別湖ネイチャーセンター
【URL】https://www.nature-center.jp