- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道池田町
- 広報紙名 : 広報いけだ 2025年12月号
12月3日(水)
安井美裕
先日、人工知能(AI)活用に関する講演を聞く機会がありました。定型的な仕事に時間をかけ過ぎて、労働生産性で劣る日本にとって、その救世主となるのがAIだというお話でした。何か企画書を作成する場合でも、膨大な資料の調査、論点の整理、たたき台となる原稿作成まで、一気に進めてくれるのがAIです。もちろん、判断するのは人間ですが、「作業」はAIに任せてその段階から離れられることで、全体的な生産性は飛躍的に向上する、と話されていました。
私も講演後、少しずつ対話型AIを使い始めました。文言検索などは一瞬で調べてくれます。「〇〇するにはどうしたら良いか」といった質問にも、かなり的確にアドバイスをしてくれます。文章作成も丸投げするのではなく、ポイントを伝えると、完成度の高い文章を提示してくれます。
ここまで書けばお分かりの通り、「町長日誌」も書いてくれないかと。しかし、まずは題目探しの段階で納得がいきません。それならと、題目を用意し、言いたいことのポイントを情報として渡してみても、納得できる文章にはたどり着いていません。
AIには、思いを注ぎ込むことはできないと私は思っています。町の風景を見て胸が熱くなった瞬間や、町民の皆さんの言葉にハッとさせられた気付き、こうした感情の揺れは、生身の人間として私自身が味わい、言葉を選びながらつづっていくしかありません。数字やデータだけでは捉えきれない「町の空気」が流れていてこそ、町長日誌になるのだと思っています。
だからこそ、この町長日誌だけは、これからも自分の言葉で書き続けたいと思います。もちろん、何らかの場面でAIの力を借りることもあるでしょう。でも、読み終えたときに、少しでも「町長の顔」や、その背後にある町の風景が浮かぶような日誌であり続けるために、AI時代だからこそ、人間らしい文章で皆さんとつながり続けていきたいと思います。
今年最後となります。皆さん、良いお年をお迎えください。
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※詳細は広報紙11ページの二次元コードをご覧ください。
