くらし 町長コラム No.22

■浦幌町長 井上亨

4月に入り少しずつ気温が上がってきました。
例年、浦幌の短い春の訪れを感じるのは山で採ってきたフキノトウやタラの芽の天ぷらを肴に冷えたビールを飲むときです。
どちらも苦みが特徴ですが、若い頃には決して美味しいと感じなかったはずなのに年々その苦みが旨みに変わっていくのは成長した証でしょうか。
それはさておき、山菜は豊富にある浦幌ですが、残念ながら地元産の酒類製造には縁がありませんでした。
しかし、今年ついに浦幌でもビールの製造販売が可能となったのです。
2021年に起業したRIKKA合同会社は、道内で栽培された大麦を使い今年度から本格的にビールの製造を開始します。
俗に言うクラフトビールでありますが、最近は全国あちこちで製造されており、飲料業界の中でも生き残り競争が厳しいと言われています。
しかし、私がこのビールに可能性を感じるのはリジェネラティブ・オーガニック農法で製造すること。
再生の意味を持つ「リジェネラティブ」は不耕起栽培や有機物を利用することで土壌の改善が期待されています。また、アレルギー疾患が急増する現代社会において、オーガニック製品への関心も上昇しており、多少価格が高くとも購入する消費者が増えているのです。
将来的には大麦、ホップ、酵母といったビール作りには欠かせない材料全てを町内で有機栽培し完全な地場産・有機農法による製造を目指しています。
4月下旬には町内飲食店にて試飲会を開催する予定とのこと。
浦幌初のビールはどんな風味と苦味を持っているのでしょうか。
暑い夏の日、キンキンに冷やした浦幌ビールで乾杯し仕事の疲れごと一気に流し込む。
これが今年の楽しみの一つになりました。