健康 保健師・管理栄養士がお届けする からだを知ろう

■太郎君と学ぶシリーズ No.66
アルコール(3)

〔前回までのお話〕
たろうくんは前回、肝臓は毒物であるアルコールを最優先に処理すること、また、1時間に処理できる純アルコール量は一般的に7グラムということを学びました。では、アルコールと一緒にとった食べ物の処理はどうなるのか?
健診結果とつなげて考えていきます。
肝臓のきもち…?
ぼくの気持ちになって考えてみてね

○食べ飲みしたものは胃で消化して、すべて肝臓に入るから、入った順番に処理してくれると思っていました…
▽肝臓は働きものだけど、全部は同時にできないの
例えば、たろうくんだって、掃除機をかけながら食器を洗うことはできないでしょ?
ごめんよ…同時に全部はできないんだ

○たしかに~ブラック企業の社長って言われた意味がわかりました
▽肝臓の大変さを分かってもらえてよかったわ
じゃあ、ここからが本題ね
処理を後回しにされた食べたものはどうなるのか
たろう君の食習慣で考えてみましょう

○えっと~昨日は、18時からビールのロング缶2本とフライドチキン、枝豆、ごはん、ケーキを食べて0時に寝ました
ビールのロング缶2本(1リットル)の純アルコール量は40グラムで、アルコールは肝臓で1時間に7グラムしか処理できないから…その他に食べたものは、6時間後の0時くらいに処理されます!
▽そうそう!計算はよくできました
じゃあ、その6時間の間に、食べたものはどうなるかイメージできる?
○う~ん…肝臓からは追い出される…?
▽あら!大正解よ!
○肝臓のきもちになって考えてみました!
▽それはいい心がけね!看護学生の鑑だわ~

▽食べたものは胃腸で消化されて、栄養素(糖・たんぱく質・脂肪)として肝臓に入り、本来ならすぐに体内で使える形に変えて貯蔵して必要なときにエネルギーとして供給されるんだけど、アルコールと一緒に食べ飲みしたものは、アルコールを最優先で処理している間は放置されるの

ぼくは、アルコールの解毒もするし、食べ飲みしたものをすべて合成・貯蔵したりする、大化学工場なのさ

▽昨日のたろうくんの場合、18時に飲み始めて処理に約6時間かかったから、その間に放置された糖や脂肪、たんぱく質は、血液に混ざって血管内に追い出され、全身を回り、また肝臓に戻り…を繰り返し、アルコールの処理が終わるまで血管内をうろうろして待っていたのよ~
たろうくんは0時に眠れたけど、肝臓は必死に働いていたのね~

○そういうことか!だからぼくの血液検査の中性脂肪の数値は上がってしまうのか…血液検査の数値とのつながりが分かりました!
お酒の飲み方を考え直します…
肝臓くんごめんよ…
わかってくれてありがとう

問合せ:役場保健福祉課保健予防係
【電話】576-5111