- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道標茶町
- 広報紙名 : 広報しべちゃ No.807 2025年5月号
■ニタイ・ト不定期ミニコラム
「博物館同士の連携からもたらされた一枚の写真」
一昨年より標茶町博物館ニタイ・トは登録博物館となりました。登録博物館とは、国が定める博物館法に基づき登録された正式な博物館のことです。その影響もあったためか昨年度は他博物館との資料の貸し借りや、情報共有などが多くあり、ニタイ・トとしても活動の拡がりを感じた一年となりました。
札幌にある北海道博物館との資料連携も何度か行われましたが、その中で明治期の標茶を写した写真を寄贈いただく機会を得ました。明治期の写真となると、官公庁で撮影された記録写真がほとんどとなりますが、寄贈いただいた写真も記録写真と考えられるものの一つで、写真台紙の裏面には「釧路國川上郡釧路川上流字イソブンナイ附近樹林地之景明治二十八年九月撮影」と書かれています。今からちょうど130年前の写真です。
元々の写真の所有者は白仁武(しらにたけし)という人物で、白仁武は1863(文久3)年に福岡県柳川に生まれ、内務官僚や実業家として活躍しました。北海道庁では参事官などを歴任。この時、北海道の地名はカタカナで表記されていましたが、白仁武らにより漢字表記へと改めるなど、今に繋がる働きをしました。その後、栃木県知事や八幡製鉄所の長官なども務めています。
この写真は白仁武氏が北海道にいた時期に撮影されましたが、明治時代における標茶の山林を写した写真はこれまでになく、非常に貴重な写真です。やや色あせているものの鮮明な写真であり、写真に写る樹木の種類まで、ある程度推測することができます。
現在の所有者がこの写真の寄贈を北海道博物館へ相談したところ、地元の標茶へ贈ったほうが資料のために良いとの話になり、北海道博物館より当館へお話がありました。明治期の標茶に関する資料は、そのほとんどが本州に暮らしている方からもたらされることが多く、この写真も同様です。それぞれの御縁を感じながらいただいています。
問合せ:【電話】487-2332