くらし 〔防災特集〕発災後の早い復旧・復興のための対策に着手

■「事前防災」に加えて
平成23年、東日本大震災の後、白糠町は生命を守るために「いかに早く、安全に高い場所に避難する」・「逃げるが勝ち」を合言葉に「津波避難対策」を現在進行形で推し進めています。
しかしながら、まだ記憶に新しい令和6年1月に発生した「能登半島地震」は、新たな課題を私たちに突きつけました。
最大震度7の地震により、死者489人、全壊家屋は6445棟に上った大災害は、断層の動きによって陸側が4メートルもせり上がり、3メートル以上の津波も広範囲で発生し、道路や水道管などのインフラ被害により火災が発生するなど、大地震、大津波、大火災という、今までとは違う複合的な災害の中、誰も命を救えないという厳しい現実を目の当たりにしました。
加えて市役所庁舎などが被災し、中央省庁や他の機関も現地対策本部を速やかに設置できず、応急復旧や復興のスピードに被災した各自治体で大きな差が出ました。

■「災害対策本部機能」がいち早い復旧に
今回の能登半島地震の早期復旧・復興の中で、今までとは違う課題が指摘されています。
それは『災害対策本部』機能の充実と『役場庁舎の強靭化』が非常に重要であるということです。
庁舎が被災したことで「災害対策本部」を分散配置した結果、情報の共有や意思決定、関係機関との調整が円滑に進められなかったのです。
津波避難をはじめとする発災時の事前防災対策に加え、発災後の速やかな応急復旧・復興への備えとして「災害対策本部機能」を備えた「庁舎の強靭化」という課題が顕在化しました。

■白糠町の「災害対策本部機能」
近年、国内で建設される市役所や役場庁舎の多くは、災害に強く、さらには、災害情報の収集、共有、発信が一元的に行える設備や空間を持つ「災害対策本部機能」を備えています。
昭和58年に建設された現在の白糠町役場は、津波の浸水深が2階の天井までと想定され、応急復旧・復興の業務を行う設備も空間も無いという現実があります。
これらの現状を受け、町は公共施設整備計画を見直し、新たに役場庁舎東側(現来客用駐車場)に「防災拠点施設」を整備することとしました。
この施設は、浸水深以上にある役場3階フロアと接続し、意思決定や状況の共有、関係機関との協議調整を可能とする機能と空間を持った、現役場庁舎と一体となりながら業務等が行える施設として検討しています。
令和6年度には施設の基本的な考え方となる「基本構想」をまとめ、今年度(令和7年度)は、施設の姿をより具体化する「基本設計」に着手します。
災害は待ってくれません。災害発生時に「災害対策本部機能」が失われることは、住民の生命、財産に直接的にかかわることになります。
同時に発災後の防災関係機関との連携をより一層強め、支援や受援体制の準備に備えるなどの体制強化のため、4月に町の機構改革を行い、地域防災課を危機対策部危機対策課として部制を敷きました。
住民の皆さんの安全、安心を確実にし、被災後は、日常生活にいち早く戻れるようにするため、本施設の整備に着手します。