くらし トガリネズミラヴァ― 六田晴洋の私たちのご近所さん

VOL.25「庶路の生き物たち」

桜が見頃を迎えた5月上旬、庶路ダムの周辺へ撮影に行きました。何か目的があったわけではなく、散策のような感じでのんびりと。今回はその時に出会った、春の生き物たちを紹介します。

■用意周到のエゾシマリスの冬眠
北海道に元々いるリスの仲間は、エゾリス、エゾシマリス、エゾモモンガの3種。その中で唯一冬眠するのがエゾシマリスです。
冬眠の期間は、なんと最長200日以上。しかし時々目覚めては、巣穴にため込んでおいた木の実などを食べて冬を越します。そして春、冬眠が明けたばかりの頃はまだ緑が少なく食べ物が乏しいので、この時期のために、地面などに隠しておいたものを掘り出します。
本来、エゾシマリスは雑食性で、植物の実や花、虫や鳥の卵などさまざまなものを食べます。しかし、冬から春用に貯蔵する食べ物としては、腐りやすい果実や動物質のものは避けて、保存の効く植物の種だけを選ぶそうです。
この写真のエゾシマリスも、何かの種らしきものをくわえていますね。

■卵だらけの水たまり
この時期、庶路川の本流は雪解け水が多く混ざっていることもあり、カフェオレのように濁っています。ところが、森の中には澄んだ水たまりがいくつもあります。それは川の水ではなく、ここに直接流れ出る湧き水が溜まっているからです。
そんな水中に、びっしりと産み付けられた両生類たちの卵を見つけました。無数にある丸いのがエゾアカガエルの卵、長細く巻いてあるのがエゾサンショウウオの卵です。このゼリー状の物質の中にいくつもの卵が包まれています。すでにふ化したオタマジャクシが数匹泳いでいました。これらが全てふ化したら、この水たまりはどんな騒ぎになるのだろう…。楽しみをまた一つ見つけてしまいました。

■PROFILE
六田晴洋(ろくたはるひろ)
1986年生まれ。
2021年に白糠町へ移住。
大学卒業後、フリーランスのカメラマンやディレクターとして野生動物や自然風景を撮影している。
【URL】https://rokutaharuhiro.com