- 発行日 :
- 自治体名 : 青森県今別町
- 広報紙名 : 広報いまべつ 令和7年9月号
~1500キロ超えの江府町を訪れ交流の一歩~
■鉄山師・重仲(じゅうちゅう)つなぐ縁
200年以上前、今別町の本覚寺第13代住職の愍栄(みんねい)上人の弟子となった『たたら製鉄』の第一人者である下原重仲氏が、今別町の高野山観音堂に寝泊まりし、住職の「十一面観音像」製作の手伝いと住民や子らに学問等を教えていたことが、本覚寺の古文書から明らかになりました。
このことは、鳥取県立公文書館専門員の髙橋章司氏が研究で突き止めたものを今別町教育委員会主催の歴史講座で講義して分かったものです。
このことから、重仲氏の功績や今別町のつながりなどの歴史を探るために、重仲氏の出身地である鳥取県日野郡江府町等を視察してきました。
視察者は、町教育委員会の佐藤泰仁教育長、小嶋俊洋教育委員ら4名で7月3日に江府町へ足を運び、江府町教育委員会を訪問。富田敦司教育長に視察への協力をお願いし、白石祐治町長を表敬訪問しました。その後、公文書館専門員の髙橋章司氏と合流し、下原重仲氏とのかかわりの深い江府町宮市森家と日野町黒坂森家を訪問しました。
下原重仲氏の生家である江府町宮市森家の森光正氏から墓碑・位牌・屋敷地が当時のまま残っているというお話を伺った後、実際にお墓まで行き、重仲氏のお墓に手を合わせました。
次に隣町の日野町黒坂森家を訪問しました。重仲氏の三男で今別へ重仲を迎えにきた恵助氏の生家でご子孫の森正之氏からお話を伺いました。
愍栄上人が餞別に贈ったとされる石楠花(しゃくなげ)の聖観音像(しょうかんのんぞう)「農暇拾穂集」(のうかしゅうすいしゅう)を実際に拝見し、公文書館専門員の髙橋氏から下原重仲氏と今別とのつながりを詳しく説明していただきました。
佐藤教育長は、「200年以上前の時代に交流があったことを確認できたのはとても有意義でした。今回の視察にあたり、江府町の白石祐治町長はじめ教育委員会の皆様方がとても温かく迎えてくださり、感謝しています。これをきっかけとして、自然豊かな江府町と、文化や産業などさまざまな面での交流につなげていけたら」と話していました。
▽江府町の学校・校区の概要
令和4年度に町内の江府小学校、江府中学校が統合し、義務教育学校「奥大山江府学園」として開校。施設分離型の義務教育学校で、1~5年生が旧小学校である「ブナの森校舎」、6~9年生が旧中学校である「日野川校舎」で学ぶ。全校児童生徒121名のうち、約70%がバス通学をしている。
校区は、大山隠岐国立公園の秀峰大山の南山麓に位置している。土地は大山から日野川へ向かう斜面にあって、そのほとんどが山地であり、農業が主な産業となっている。豊かな緑と水に恵まれた地域で、休暇村奥大山などの観光施設、鏡ヶ成スキー場や俣野川ダム、下蚊屋ダム、ミネラルウォーター工場、氷の製造工場など豊かな自然を利用した施設が多い。