くらし 公共交通がピンチです!

買い物や通院、通学など市民の暮らしを支える公共交通。年々利用が減少し、公共交通の維持が難しくなっています。

■久慈市の公共交通機関
市内の公共交通は、久慈駅を中心に、JR八戸線、三陸鉄道リアス線、路線バス、高速バス、市民バス、タクシーが運行。市内の移動のほか、市と近隣市町村や主要都市とをつないでいます。
人口減少や自家用車の普及などにより、公共交通の利用者数は年々減少し、公共交通機関の維持確保が難しくなってきています。JR八戸線は、鮫―久慈間が赤字区間として公表されました。三陸鉄道も赤字が続くなど厳しい状況となっています。
市内の移動を支える市民バスも市が経費を負担して運行していますが、経費は年々増加しています。一方で、利用者は減少傾向にあり、利用者一人あたりの財政負担額も増加している状況です。

市民バス利用者と運行経費の推移

市民バス等の確保・維持にかかる利用者1人あたりの財政負担額

●年に数回でも移動の選択肢に
市では令和6年3月に久慈市地域公共交通計画を策定。官民連携で持続可能な公共交通に向けて検討を進めています。
公共交通は使う人がいなければ、存続が難しくなります。一人一人が年に数回でもいいので、公共交通を使っていくことが重要です。
今は生活に必要がなくても、将来のために親子で利用して、乗降したり運賃を支払ったりする経験もしながら外出してみませんか。

●なぜ無くてはならないのか
公共交通機関の利用者の多くは高齢者や高校生などの移動に制約を持つ人たちです。通学や通院、買い物の足として欠かすことができません。
令和4年に市で実施したアンケート調査では、回答者の約8割が自家用車で移動しています。しかし、高齢になり自動車の運転免許を返納したり、予期せぬ理由で運転ができなくなったりしたときに、公共交通機関がなければ、久慈地域に住み続けることができなくなるかもしれません。現在は自動車で移動しているため、自分には無関係とはならないのです。
市内の公共交通機関は、それぞれが違った特徴や役割を持っています。鉄道や路線バスは都市間などの広域的な移動を支えています。一方市民バスは市内の各地域と市街地の移動など日常生活に密着した交通サービスです。鉄道やバスは、時間や経路に制約を受けますが、時間に正確で安価に利用できるというメリットがあります。一方でタクシーは鉄道やバスよりも高価にはなりますが、時間や経路に制約がなく、介護サービスや買い物支援など利用者のニーズに柔軟に対応できる点がメリットです。
このようにそれぞれが役割を持ち、どの公共交通が欠けても、私たちの生活に大きな影響を与えます。久慈には多くの観光客が訪れていますが、公共交通が無ければ、観光先や移住先に選ばれなくなり、地域経済の衰退につながる可能性もあります。
公共交通の衰退は、ひいては、地域の衰退に直結していくのです。

◇残すには利用するしかない
川代地区振興会会長 夏井 俊勝(なつい としかつ)さん
川代地区振興会では、市民バスが無くならないように参加者を募ってバスを利用し、買い物や食事を楽しむイベントを実施しました。私も高齢になり、いずれ運転免許を返納することになります。山間部に住む私たちは、市民バスが無くなってしまえば、どこにも行けなくなり大変です。形を変えてでも残ってほしいです。

◇公共交通は進路選択にも影響
久慈翔北高等学校2年 中村 駿也(なかむら しゅんや)さん
地元の洋野町種市からの通学や休日の部活動に通うために、JR八戸線を利用しています。親は自営業のため、毎日の送り迎えをすることになれば大変です。進路選択では地元を離れての進学を考えていましたが、バスでの通学は難しく、JR八戸線がなければ久慈への進学は難しかったかもしれません。

問合せ:地域づくり振興課
【電話】52-2116