くらし 協働除雪の取り組み~地域の絆で広げる除雪の輪(1)~

冬を乗り越えるために欠かせない除雪。市は一定の積雪があったときや予想されるときなどに、市道の通行に支障を及ぼさないよう除雪作業を実施します。市の除雪基準については、表のとおりです。
近年では、短時間に多くの降雪に見舞われることも増え、市の除雪作業が追いつかない事態が発生しています。
そんな中、地域の特色を生かし「自分たちでできること」として除雪に取り組んでいる地域があります。本号では、そんな「協働除雪」に取り組んでいる主な地域を紹介します。

■表 市の除雪基準について

(注)主要路線は、市HPで確認できます

■上の山自治会
▽取り組みのきっかけ
「自宅前を除雪した後に市の除雪車が圧雪を寄せていく」との不満があった。ある時、重機の運転資格を持つ住民が、団地公園に駐車する除雪業者の重機を見て「この重機を自分たちで除雪作業に使えないか」と考え、共感する住民が実現に向け行動を起こし、国土交通省の補助事業でスタートしたことがきっかけ。

▽内容
住民ボランティア「まごころ除雪隊」を組織し、市提供の軽ダンプとホイールローダなどを活用し除排雪を行っている。平成29年からは住民からの除雪協力費で自律的に運営。市補助事業によるオペレーター養成など「三者協働」の体制となっている。

▽どのような効果があったか
活動を継続する中で、雪が固くなる前に初期除雪を行うことが除雪の質を高めるということが分かった。高齢化する住民も歩きやすく、住民からの活動への理解と協力が生まれている。

▽継続の秘訣(ひけつ)と課題
除雪隊の活動は「私たちの地域の相互扶助」という認識を広げ、継続することが地域コミュニティの形成を支えている。10年を超えて継続する「住民協働」の具体像の一つとなっているが、高齢化や雇用延長などの社会環境の変化とともに、従来の活動を続けることが難しくなり「三者協働」の在り方に再検討が求められている。

■国分自治会
▽取り組みのきっかけ
市の除雪だけでは通学路の確保などができず、生活に支障があった。発足当時は市から小型除雪機1台を借用し対応していたが、世帯数が増え、現在は計3台で対応している。地域ボランティア「除雪し隊」を結成し活動が始まった。

▽内容
主な目的は学生の通学路確保。シーズン初めに安全講習などを行った上で開始。団地内のバス通り歩道の除排雪を実施している。市から軽ダンプを借り、歩道の山になった雪の排雪を行っている。積雪状況に合わせて地域内生活道路の除雪と排雪場となる公園の整備、除雪困難者への支援など多岐にわたっている。

▽どのような効果があったか
各世帯で公園まで雪を運ぶことで道路への雪出しが減った。生活道路の除雪を行うことで、緊急車両やデイサービス送迎車両などの通行が楽になっている。「お互いさま」の気持ちや「ありがとう」の感謝の気持ちが芽生えた。

▽継続の秘訣(ひけつ)と課題
隊員のボランティア精神や「地域の皆さんのために」という地域愛が秘訣(ひけつ)。しかし、退職後に地元の除雪を支えてきた世代にも高齢化の波が押し寄せ、平日の昼に活動できる人が減っている。そのため現状維持が難しくなってきている。