くらし 令和8年 新春歓談(2)

◆2.音楽がつなぐ地域と人
▽学校と地域を「緩くつなぐ」役割
市長:部活動の地域展開など、学校と地域の関係は大きな変化の中にあります。

杉山:今は大河原町の部活動外部指導員として、中学校の地域展開の橋渡し役もしていますが、スポーツに比べて吹奏楽など文化部の地域展開は課題が多く、10年以上の単位で考える必要があると思います。海外では教会やコミュニティーが学校外の音楽拠点になっていますが、日本でもそうした場所づくりが求められていくのかもしれません。少子化が進む中、角田市だけで完結させるのは難しくなっています。仙南2市7町、さらに亘理町・山元町を含めた広域で、学校と生涯学習・文化活動を緩くつなぐ仕組みを模索する必要を感じています。自分の経験がその一助になるなら、できる範囲でサポートしていきたいです。

▽「お茶会付き鑑賞会」
市長:三浦さんが関わる旧東根小での取り組みは、新しいコミュニティーの形ですね。

三浦:旧東根小の音楽室を活用した「モギー鑑賞会」は、最初はコンサートだけでしたが、終演後もお客さんが2時間近く残って話し込む姿を見て「それなら最初からお茶会をやろう」とスタイルを変えました。開演2時間前からコーヒーやポップコーンを楽しみながらおしゃべりをして、その後にコンサートを行う形です。今では、地域住民が自ら案内役や受け付けを引き受け、スリッパや飲み物の準備まで率先して動いてくれます。地域の活動も広がり、「人間味あふれる拠点」に育ちつつあります。
コロナ禍を経て、人と人の距離が遠くなり、オンラインで完結することも増えましたが、音楽は空気の振動を一緒に感じる体験です。ここで生まれている「心の活性化の場」を、今後も大切に育てながら、活動を広げていきたいと考えています。

▽子育てと歌「角田市で暮らす幸せ」
市長:リホさんは、角田市での子育てと音楽活動をどのように結びつけていますか。

リホ:1人目を出産した直後は「この子の命を守らなきゃ」と視野が狭くなり、音楽から離れた時期もありました。でも、久しぶりにステージに立ったとき「やっぱり音楽っていいな」と心から思えました。お母さん向けライブで子育ての歌を歌うと、涙を流す人も多く「歌には誰かの気持ちを代弁してそっと寄り添う力がある」と実感しました。作曲する上でもさまざまな経験をインプットしないとアウトプットできないので、育児やライブで人と出会う時間はとても大事にしています。
角田市は、保育料無償化など制度面でも恵まれていますし「みんなが家族」のように子どもを見守ってくれる地域性があります。その一方で、小児科が近くにほしいというのが正直なところです。往復1時間かけて受診するのは負担が大きく、「子育て支援センターまめっこ」でもよく話題になります。小児科医の誘致や、短時間でも子どもを預けられる一時保育の拡充などが実現したら、角田市は本当に「子どもから高齢者まで、みんなが安心して暮らせるまち」になると感じています。

▽盆踊りが教えてくれる「日本人のリズム」
市長:角田市では、かつて各地にあった盆踊りなどの復活に取り組んでいます。牟宇姫(むうひめ)夏まつりでも、盆踊りの輪が少しずつ戻ってきました。

三浦:日本人は「よーっ」という掛け声一つでみんな手拍子がそろう。海外だと「せーの」でもなかなか合わない。それは、小さい頃から盆踊りや地域の行事で、自然に同じリズムを共有してきたからだと思うんです。
地域を盛り上げるには新しいイベントも必要ですが、その中に盆踊りのような伝統を自然に溶け込ませて、子どもたちや普段関わりのない人が「きっかけ」として触れられる場をつくることが大切だと感じています。私自身も、太鼓を通してそうした入口をつくる存在でありたいです。

杉山:大河原小学校では現在も、運動会で「大河原音頭」を残していて、保護者や地域住民も町長も一緒に輪になって踊ります。その光景を見ると「伝統を残すとはこういうことなんだ」と感じます。

◆3.令和8年、音楽で角田市をどう盛り上げるか
市長:最後に、音楽を通して角田市をどう盛り上げていきたいか、令和8年の抱負も含めてお願いします。

杉山:令和8年は、学校と地域・生涯学習を「緩くつなぐ」調整役として動きたいと考えています。少子化のなかで音楽活動も規模を縮小せざるを得ない状況です。今後ますます人材面・人数面で1自治体だけで文化活動を完結させるのは厳しくなっていくと思います。各施設や団体が単独で頑張るのではなく、緩やかに連携し、補い合う仕組みができれば、文化活動はまだまだ面白くなるはずです。

三浦:旧東根小の音楽室での「モギー鑑賞会」を続ける中で、地域の皆さんと一緒に「場」をつくる形が少しずつ見えてきました。令和8年はそこから一歩進めて、和太鼓などの体験教室や東根に来ないと味わえないワークショップなどを本格的に始めたいと考えています。「お茶会付き鑑賞会」というスタイルは令和8年も続けて「地域の居場所」という形をNPO法人などの団体化も視野にもっと育てていきたいです。
東根地区の明るさを角田市全体、そして東北・全国へ届ける一年にしたいです。

リホ:私は今、子育てをしながら活動しているので、まず子育て中のお母さん・お父さんにどう音楽を届けるかを一番に考えています。音楽でほっとできる時間が増え、毎日の小さな安心が増えてくると、もっと「角田市で子どもを育てたい」と思える人が増えると感じています。角田市の子育ての良さを発信しながら、子育て中の人の心が少し軽くなるような歌をたくさん届けていきたいと思います。
PR大使としては、ライブをきっかけに多くの人に角田市を訪れてもらえるよう、全国に発信していきたいです。

市長:音楽には、人、地域、世代をつなぐ力があります。少子化やコミュニティーの変化という課題の中で、学校と地域、生涯学習と文化活動、伝統と新しい表現を、音楽を通して緩やかにつなぐことが、これからの角田市には欠かせません。
旧東根小の音楽室から聞こえる笑い声。夏の夜、盆踊りの輪で自然にそろう手拍子。子育てに頑張るお母さん・お父さんの背中をそっと押す歌声。令和8年が、そうした一つ一つの音と心が重なり合い、角田市の「幸せの輪」がさらに広がる一年になることを願っています。
本日は本当にありがとうございました。

◆「新年のつどい」で三浦さんが演奏します!
日時:1月9日(金)午後3時(開場 午後2時30分)
場所:かくだ田園ホール
対象:市民、通勤・通学など市に関わりのある人
料金:無料
※申し込み不要