その他 【特集】花よ咲け 思いと共に(2)

一迫山王史跡公園あやめ園に咲く美しい花の陰には、日々ひた向きに作業に打ち込む人たちがいます。担当する5人のうち、中山さんに話を聞きました。

一迫山王史跡公園あやめ園
中山 操 さん(志波姫上)

◆全ては笑顔のために
やりがいは、何といっても、花を鑑賞したお客さんが笑顔になることです。来園したお客さんに「きれいだね」と笑顔で言われると、本当にうれしいです。もちろん、自然相手なので難しいことも多く、あやめ祭りの開催期間に合わせて、たくさんの花が美しく見られるように調整したりと、気が抜けません。
約1万3千平方メートルの園内には、約22万株のアヤメやハナショウブなどを植えていますが、その管理は簡単ではありません。なぜなら、これらは、手間がかかる花なのです。他のあやめ園では、管理がうまくいかずに全滅した場所もあるほどで、状態を常に注意深く観察する必要があります。
例えば、同じアヤメ科で外見は似ていますが、アヤメは水を嫌い、対照的にカキツバタは好みます。また、ハナショウブはどちらでも良いですが、水温が高くなりすぎると根腐れしてしまうなど、好む環境がそれぞれに違います。さらに、さび病という葉の病気にならないように消毒や風通しを良くし、ネズミの食害にも注意するなど、気を配るポイントがたくさんあります。しかも、株を枯らさないよう、除草剤も使えないため、日々こつこつと手作業で除草する地味な作業が続きます。
花が咲いてからも、気が抜けません。一番初めに咲く一番花、次に咲く二番花など、これが四番花まで続きますが次に咲く花の生育に影響が出ないよう、しおれた花を取るタイミングを見逃さず、常に美しく見えるように注意する必要があります。
さらには、毎年来園するお客さんに飽きられないよう、休日を利用して県内外のあやめ園で働く知人を訪ねては、栽培技術を聞いて歩いています。また、書籍で学び、花が美しく見えるような植え方や、土や肥料を変えてみたりと、毎年少しずつ工夫を重ねています。
今年も、あやめ祭りに向けて、園内の花々が、順調に生育しています。ぜひ、たくさんのお客さんに来園してほしいです。