子育て 【特集】地域子ども・子育て支援事業「栗原モデル」 進め 栗原ワンチーム(1)

成長著しい子どもたち。毎日新しい経験や発見に目を輝かせ、時には壁にぶつかることもあります。それは、大人だって同じこと。初めての子育てなど、心配や困り事、悩みなど、戸惑うことも多くあります。
そのようなとき、市には「栗原モデル」があります。これは「医療、教育、保健・福祉」が連携して子育てを支援する仕組みです。
今月は、この栗原モデルと、それを担う医師の思い、そして、その思いに共感する大人たちの取り組みを紹介します。

■栗原モデルとは
市では、子育て支援に力を入れています。その中でも、市独自の子育て支援システム「栗原モデル」が効果を上げ、注目が集まっています。
この栗原モデルは、医療と教育、保健・福祉が連携し、相談者の悩みや困り事に寄り添い、より良い方向を相談者と共に考えるものです。具体的には、子どもとその保護者を中心に置いて、医療と教育、保健・福祉サービスを連携し、さまざまな角度から支援するもので、子どもの発達障害などの早期発見や早期対応につながる効果があります。発達障害とは、脳機能の発達に関係する障害です。他人との関係づくりやコミュニケーションなどが苦手である場合も多いですが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい障害です。また、この栗原モデルによる支援は、相談者の同意のもとに行います。
餅は餅屋と言われるように、それぞれの分野はその分野のプロに任せるのが良いと思われることもありますが、栗原モデルでは、医師や教員、保健師などその分野の専門家がつながることで、新たな知見や対応方法を知り、さらには、必要なサービスをワンチームで考え提供することで、相談者の現状や気持ちに寄り添い、効果を上げることにつながっています。

◇栗原モデルのイメージ図

◇栗原モデルの主な構成機関
・くりっ子ドクター子育て相談室
【電話】24-8811
小児科専門医による子育てに関する無料相談。
※診察ではありません。

・くりはら子どもの学び支援センター
【電話】42-1441
学校に通うことに不安な児童や生徒の居場所であり、専門スタッフによる教育や子育てに関する教育相談ができます。

・こども家庭センター(D-care)
【電話】22-2360
保健師や家庭相談員による子育てに関する相談ができます。

主に3つの分野で構成し、密接に連携する栗原モデル。その取り組みを紹介します。
◆医療―くりっ子ドクター子育て相談室
くりっ子ドクター子育て相談室は、病院を受診するほどではないけれど、ちょっと気になる育児のことなどを小児科専門医に相談できます。診察ではないため、気軽に幅広く子育てで困ったことを相談できます。
子どもの発達で気になること、スマートフォンやゲームのしすぎ、不登校や登校渋り、学習の遅れなど、気になることがあれば、何でも相談できます。

◆教育―医療と教育の連携
小・中学校や義務教育学校、幼稚園、保育所で子どもたちに日々接する教員や保育士に向け、小児科専門医による研修会を開催しています。
保育士や教員たちは、日々子どもたちと接しています。その中では、生きづらさを抱え、不登校や友達同士でトラブルを抱え困っている児童や生徒への対応など、教育の側面からアプローチするだけではうまくいかないこともあります。こうした、生きづらさを抱える子どもに対する接し方など、医師からのアドバイスを受け、医療の知見も生かした対応力の向上を進めています。

◆保健・福祉―多角的な支援を練る
こども家庭センターに設置する通称、D―care。ここを核に保健・福祉サービスを提供します。また、くりっ子ドクター子育て相談室の受付窓口、そして、栗原モデルの事務局機能として、部門間の調整を担います。
ここでは、相談者からの相談に寄り添い、支援をスムーズに進めるため、くりっ子ドクター子育て相談室、教育支援部門のくりはら子どもの学び支援センターのメンバーも毎週集まり、相談者の気持ちに寄り添いながら支援に向けた検討を進め、さまざまな角度からサービスにつなげています。

■Interview 子どもが発達障害、どうしたらいいの。栗原モデルを知り、気持ちが楽に。
栗原モデルを実際に利用する子どもの保護者に、利用の感想を聞きました。

私の子どもは、はじめ内科的な問題を抱えているのかもしれないと思い、栗原中央病院を受診しました。その後、約半年間、医師とのコミュニケーションを重ねながら、子どもの発達の経過などをじっくりと診察してもらった結果、発達障害と診断されました。どうしたらいいのか、不安でどんな支援が受けられるかも分かりませんでした。しかし、すぐに栗原モデルを教えてもらい、必要なサービスに色々つながることができ、現在では、子どもの状況に合わせ、小学校の特別支援教室に通いながら、少しずつ通学できるようになりました。
子どもをしっかりと見つめ、寄り添う栗原モデルが栗原にあって本当に良かったと思います。また、心が折れそうでしたが、必要なサービスに次々とつながることで、気持ちも楽になりました。この仕組みを必要とする人に、ぜひ、お薦めしたいです。