- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県東松島市
- 広報紙名 : 市報ひがしまつしま 2025年12月1日号
伊東胃腸科内科
原田喜博 院長
Q 昨年、がん検診で要検査となりましたが、結果は異常なしでした。今年も同じ項目で要検査となりましたが、再検査は必要でしょうか。(63歳男性)
A 東松島市にある「伊東胃腸科内科」院長の原田喜博(はらだよしひろ)と申します。
まず質問にお答えしますと、がん検診で要検査となった場合は必ず医療機関を受診してください。
一年という期間は癌(がん)が成長するには十分な時間です。
胃癌、大腸癌を例にとると、癌はAIであれ、人間の眼であれ、周囲との色の違い、隆起や陥凹(かんおう)といった形で診断されます。現在の内視鏡は数mmの癌も発見できる精度ですが、なかには非常に発見しにくい癌もあります。一年前は大丈夫でも、新たに癌が発見される可能性はあるのです。
また、近年増加中の大腸癌は、大腸ポリープから発生することが多く、ポリープ切除は癌の予防に有効です。検診がきっかけでポリープが発見されることも多いので、ぜひ受診ください。
驚くべきことに日本人の平均寿命は1950年には男性59歳、女性63歳でした。現在の平均寿命の延びは、人間の細胞が進化したからではありません。癌は40年以上連続して日本人の死因第一位です。何も症状がないから大丈夫とお考えの方もいらっしゃると思いますが、癌を完治させるポイントは早期発見です。検診、検査などを全く受けていない場合は、病気を早期発見する機会を逃している可能性があります。現在は、楽に検査を行う方法もありますので安心してください。
最後に、検診は万能ではありません。胃のピロリ菌を除菌した場合や、大腸ポリープの経過観察には定期的な内視鏡検査が必要です。
不明な点がある場合は、主治医や精密検査を受けた医療機関でご確認ください。
