- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県横手市
- 広報紙名 : 市報よこて 令和7年12月号
お医者さんが今伝えたいまめ知識
さわぐちクリニック
沢口昌亨医師
■成人のRSウイルス感染症
今年は百日咳やマイコプラズマ感染症、一時はリンゴ病も流行し、心配された妊婦さんも多かったのではないでしょうか。また、RSウイルス(以下『RS』)感染症も新型コロナ以降、夏から秋にかけて高い水準で報告されるようになり、流行期が不定期化しています。そのため、『RS感染症は冬期の病気』といった従来の認識を改め、年間を通して警戒する必要があります。そもそもRS感染症は『子どもの病気』というイメージが強いのですが、実は乳幼児から高齢者まで全世代にわたってみられる呼吸器感染症で、ひどければ肺炎から死に至ります。まず幼稚園や保育園で集団発生し、続いて家庭内で連鎖的に広がります。ですから、お孫さんと接触する機会のある高齢者は特に注意が必要です。
65歳以上の高齢者では、インフルエンザと比較して、入院・死亡率の点で同等またはそれ以上とするデータがあり、特に慢性の心疾患・呼吸器疾患を持つ方では重症化のリスクが高いと報告されています。気になる治療法ですが、残念ながらインフルエンザのように特効薬となる抗ウイルス薬は存在せず、対症療法が中心となりますので、特に高齢者は予防が大切です。現在、RSに対して60歳以上を対象にしたワクチンが複数あります。このうち、ワクチン接種後6〜7カ月の追跡調査でRSによる下気道疾患の発症を82・6%予防できる効果を示すものもあります。現時点では1回の接種で2〜3年の有効期間が期待できますが、接種費用については自費になりますので、各医療機関にご相談ください。
高齢者や基礎疾患をお持ちの60歳以上の方は、RSワクチンの接種を検討されてはいかがでしょうか。
横手市医師会HP
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