- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県横手市
- 広報紙名 : 市報よこて 令和7年5月号
お医者さんが今伝えたいまめ知識
たかぎファミリークリニック(平鹿)
石岡伸規 医師
■透析後の『こや』
皆さんご存知、秋田の方言『こや』は『疲れた』ですね。
私は秋田へ来た当初、どういう意味なのか分かりませんでしたが、患者さんたちに教わったのも良い思い出です。
そんな『こや』ですが、透析患者さんも治療後に強い疲労感を訴える方が少なくありません。
これまで「透析後は疲れるのが当たり前」と軽視されがちでしたが、近年の研究で『疲労の有無』が生存率や生活の質に直結すると注目されています。
疲労を放置すると『動けない→筋力低下→歩行困難→寝たきり』という悪循環に陥ります。
『疲れない透析』を実現するために(1)適正体重の細かい調整、(2)血流量の最適化、(3)栄養状態の改善、(4)貧血の治療などに気を配ることが大切です。
我々、医療人は患者さんの「こや」という声にも耳を傾け、治療条件を見直します。「疲れは仕方ない」と諦めないでほしいです。
ある70代の患者さんは、透析時間を延ばし、器材を変更した結果、趣味の農業を再び楽しめるようになりました。それくらい違いが出ます。
透析治療は『生きるため』だけでなく『生き生きと暮らすため』の手段です。
私たち、医療人は患者さん一人一人の『やりたいこと』を支える医療を目指しています。
横手市医師会HP
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