くらし 鳥獣被害の広がりと対策

かつて、西川町にはイノシシがいませんでした。しかしながら、平成25年頃から徐々にイノシシが見られるようになり、今では町全域で確認されるようになっています。また、クマも頻繁に集落付近で見られるようになり、令和5年には過去最多の41頭が捕獲されています。こうした野生鳥獣への、西川町における対策の状況についてご紹介したいと思います。

■I 対策(1)…捕獲
鳥獣被害に対する第一の対策は捕獲です。
町では、野生鳥獣の捕獲体制を強化しています。まず、鳥獣被害対策実施隊が野生鳥獣を捕獲した場合の手当を令和7年度から大幅に増額することとしました。
また、みどり共創課内に「鳥獣狩猟室」を設置し、5人の職員が狩猟免許を新たに取得しました。捕獲実績はまだありませんが、少しでも捕獲数の増加に貢献したいと考えています。

■II 対策(2)…電気柵の設置
第二の対策は、電気柵の設置です。
町では、田畑に電気柵を設置する場合、その費用の2分の1を補助することとしています。かつては、直売所等に作物を出荷していることが電気柵を設置するための補助金を受給する条件になっていましたが、今では自家消費のために耕作している方も、補助を受けることができるようになっています。

■III 対策(3)…地域ぐるみでの緩衝帯形成
第三の対策は、「緩衝帯」の形成です。
鳥獣被害を防止するためには、野生動物の隠れ場所や通り道となる藪を刈り払い、野生動物が住む山と、我々人間のテリトリーである里との間に「緩衝帯」を整備することが有効と考えられています。
緩衝帯の整備の取組は、町内ではまだ始まったばかりですが、例えば沼山地区では、地域の住民が主体となり令和6年度から県の補助金を活用し、不要な藪や茂みの刈り払いを実施しています。

■IV 鳥獣被害対策で重要なこと
このように、町では様々な対策を実施していますが、重要となってくるのは、これらの対策を「組み合わせて」実施することです。
例えば、環境省によると、イノシシは令和5年度には全国でなんと約52万頭が捕獲されています。それにもかかわらず、鳥獣被害が続いている現状を踏まえると、捕獲の強化だけでは鳥獣被害を抑えることは困難であると考えられます。
このため西川町では、イノシシの捕獲体制の強化に加えて、電気柵の設置への補助や、地区による緩衝帯形成の活動に対する支援を引き続き実施し、これら3つの対策を組み合わせた総合的な鳥獣被害対策を継続していく考えです。