- 発行日 :
- 自治体名 : 山形県金山町
- 広報紙名 : 広報かねやま No.750 2025年6月号
町立金山診療所 主任理学療法士 加藤 良
■自宅で簡単!『尿漏れ予防体操』
尿漏れ(尿失禁)は誰しも起こり得る現象です。女性では、40歳代で初めて気付いたという人が多く、なんと30代から40代を合わせると60%以上が経験あると答えています。男性では、排泄後のいわゆる「追っかけモレ」等が多く、20歳以上では約8割の方が経験あると答えています。この尿漏れが原因で外に出ることが消極的になったり、生活の質を低下させる要因ともなります。
尿漏れにはいくつか種類があります。(1)腹圧性尿失禁…お腹に力が入ったときに漏れてしまう。咳、くしゃみ、重い荷物を持ち上げるなどで生じやすい。(2)切迫性尿失禁…過活動膀胱などが原因で急に尿意が強くなり、我慢ができなくなってしまう。(3)溢流性尿失禁…尿が溜まりすぎて膀胱から尿が漏れ出す。(4)機能性尿失禁…排尿機能には問題がないが、身体機能の衰えや認知症により尿が漏れてしまう。
中でも(1)の腹圧性尿失禁は運動により改善する可能性があります。原因の多くは骨盤底筋の衰えと言われています。あるデータによると骨盤底筋を鍛える体操を行うと3週間程度で効果が出始め、9週間継続すると8割の人に効果があったという報告もあります。今回は自宅でもできる簡単な運動を一つ紹介します。
まずは右側を向いて横になり、両足を重ねた状態で足を曲げる。両手は上になっている方の膝の上に置く。そして、口から息を吐きながらお腹を少し凹ませて、肛門を閉めるように力をいれる。同時に手を置いてある足をお腹に近づけるように力を入れ、手はその力を妨げるように押し返す。力を7秒間いれた後、ゆっくりと鼻から息を吸い、リラックスする。これを10回、左右向きを変えて行う。一連の動きををスピードアップして、10回行う。1秒で吐いて力を入れ、1秒で吸って力を抜くくらいのスピード。これを1日2セット、週3~4回行うと効果的です。骨盤底筋は筋肉なので、鍛えることができます。そして、体操は目に見えて効果が現れにくいため、継続が重要です。