- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県いわき市
- 広報紙名 : 広報いわき 令和7年8月号
■整形外科医療録(5)
◇手首の痛み
手首の痛みは、手をよく使う仕事をしている方によくみられます。人間はサルと違って、他の指とは異なり、親指を手のひらに対して回転させるような動作をすることができます。このことによって手の機能は飛躍的に向上し、細かな動作が可能になっています。
しかし、そのため親指の付け根には多くの負担がかかり、付け根の関節(CM関節)の軟骨の摩耗や変形を生じてしまいます。普段欠かせないスマートフォンの過度な使用も、負担をかけてしまいます。
負担を減らすには、利き手ではない手を使用することも有効です。痛みが出る動作を避けることができないときには、負担を減らす装具があります。また、親指の手の甲には手首を動かす腱が何本か通っており、使いすぎによって腱鞘炎(けんしょうえん)が生じることもあります。
手首を親指側に反らす動作で痛みが出ますので、ポットを持つときなど取っ手だけを持つのではなく、底を支えて負担を減らすことが大切です。痛みが強いときは、ステロイドの注射も有効です。
■けんこうQandA 腎臓内科(5)
◇糖尿病と腎臓~糖尿病性腎症を防ぐためには?~
糖尿病は、腎臓に深刻な影響を与える生活習慣病の一つです。血糖値が高い状態が長期間続くと、腎臓の中にある細かい血管がダメージを受け、ろ過機能が低下します。この状態が「糖尿病性腎症」と呼ばれるもので、日本における透析導入の原因の第1位となっています。つまり、糖尿病のコントロールは、腎臓の健康を守るために極めて重要なのです。
糖尿病性腎症は初期には自覚症状が少なく、進行しても疲れやすさやむくみ、尿の泡立ちなどが軽く現れる程度で見逃されがちです。そのため、定期的に尿たんぱくや血清クレアチニン、eGFR(糸球体ろ過量)といった腎機能の指標をチェックすることが重要です。
治療と予防の柱は、血糖・血圧の管理です。血糖を適正範囲に保ち、血圧を130/80mmHg未満に保つことが推奨されています。さらに、塩分制限、禁煙、運動習慣の継続といった生活習慣の改善も腎臓保護に効果的です。
腎臓を守る意識を持ち、継続的な医療との関わりを大切にしましょう。
◇かかりつけ医の紹介・相談は、医師会事務局へ
提供・問い合わせ:(一社)いわき市医師会
【電話】38-4201