- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県国見町
- 広報紙名 : 広報くにみ 令和7年6月号
■水害の歴史
国見町の豊かな自然の象徴のひとつである阿武隈川。徳江地区には、徳江川岸といわれる船着き場があり、歴史的に重要な交通の拠点でした。
しかし、阿武隈川では長雨や台風による影響で度々水位が上昇し、阿武隈川支流の滝川や佐久間川が氾濫・決壊し、甚大な水害が引き起こされてきました。
昭和61年8月に発生した、通称「8・5水害」では、台風により増水した阿武隈川の水が、佐久間川などの中小河川に逆流・氾濫し、床上床下浸水20戸、田畑の冠水約63ヘクタールが被害を受けました。特に徳江前原地区では、全戸が孤立し、ボートで食糧を調達するという、前代未聞の出来事となりました。
その後も、平成10年8月の豪雨災害、平成14年7月の台風6号の水害が相次ぎ、記憶に新しい令和元年10月の台風では、過去の水害を超える降雨量、阿武隈川の観測史上最高水位を記録。「8・5水害」と同規模の被害が発生し、あらためて防災対策の必要性が浮き彫りとなりました。
■水害に備える
今月の特集は、現在行われている水害対策や、皆さんに準備してもらいたい備え、いざというときに役立つ便利な防災情報を紹介します。
これから梅雨の時期を迎え、雨が多くなります。いつ発生するかわからない災害に対して、自分や大切な人たちを守るためになにができるのか、皆さんと一緒に考えます。
■国見町水害の歴史
(1)昭和61年8月5日豪雨
床上浸水:16戸
床下浸水:4戸
農地冠水:62.9ha
(2)平成10年8月27日豪雨
床上浸水:8戸
床下浸水:17戸
農地冠水:78.5ha
(3)平成14年7月10日台風6号
床上浸水:10戸
床下浸水:1戸
農地冠水:40.7ha
(4)令和元年10月12日台風19号
床上浸水:14戸
床下浸水:2戸
農地冠水:79ha
■まちの水害対策の「今」
近年では、同じ場所で長時間激しい雨を降らせる「線状降水帯」が多発しており、集中豪雨が続くと、河川の氾濫や土砂災害の危険性が高まります。
本格的に梅雨へと向かうこの時期に、国見町を流れる滝川・滑川・牛沢川の治水について知ってみませんか。
本ページでは令和元年10月の台風19号で水害を受けた滝川・滑川・牛沢川の「今」をお伝えします。
阿武隈川の堤防と同じ高さに整備
背水対策により洪水時の浸水被害を軽減
01.滝川背水対策事業(県管理河川)
令和元年の台風19号では、阿武隈川が増水し、滝川へ逆流する背水現象が発生し、甚大な浸水被害が発生。
福島県では、欠下橋から上流1,140mまでの区間において、令和2年度から阿武隈川の堤防と同じ高さにする河川改修工事(堤防の嵩上げ、護岸および樋管の整備など)を着手し、令和6年度に完了。これにより、洪水時における浸水被害が軽減されました。
02.滑川背水対策事業(町管理河川)
滝川合流部から県道320号(五十沢国見線)までの750mの区間において、令和3年度より滝川の堤防と同じ高さにする河川改修工事(堤防の嵩上げ、橋の架替、護岸及び樋管の整備など)に着手。令和7年度の完了を目指して進めています。
03.牛沢川背水対策事業(県管理河川)
築舘橋付近の200m区間において、擁壁により堤防の嵩上げを令和2年度から実施し、令和6年度に完了。阿武隈川の堤防と同じ高さとなり、河川からの浸水被害が軽減されました。